「婚約を機に冒険者の仕事は辞めてもらうよ」と言われ冒険者を辞めた私でしたが、一方で彼は好き放題していて……。

四季

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2話

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 ◆


 だが、婚約して間もなく、ルトーカスが他の女と親しくしていることが判明した。

 ――そう、この目で見たのだ。

「なぁ、もっと……いいだろ?」
「嫌よぉやめてぇ。んもぉ。駄目よぉ、こんなところでぇ」
「いいじゃないか」
「婚約してるんでしょお?」
「あんなやつどうでもいいんだよ、婚約しただけ、仕方がないからしただけだって」

 その日、ルトーカスは、路上で女性といちゃついていた。

 腕を絡め。
 顔を近づけて。

「もうそろそろいいだろ?」
「仕方ないわねぇ……」
「甘えさせてくれよぉ、疲れてるんだ」
「もう……いいわよ、でも、ちょっとだけよぉ?」
「ああいいさそれでもちろん」

 やがて、重ねる唇。

 これはさすがに……、と思った私は、咄嗟に口づける二人の姿を写真に収めた。

「っ!? そこに誰かいるのか!?」
「何なのよぉ……」

 気づかれそうになったので私は走って逃げた。

 そしてその後、私は、証拠写真と共に婚約破棄を告げる。

「あの時撮影したのは……まさかお前の手下だったのか!? くそっ、上手くやりやがって。狡い女め!!」
「狡い、って……それはそちらでしょう? 婚約しておきながら他の女性ともいちゃいちゃするなんて」

 ルトーカスは親の仇でも見るかのような目で私を見てくる。

 でも怯んだりはしない。
 ずっと凶暴な魔物と対峙してきた私だ、人間なんて怖くはない。

「よって、婚約は破棄とします」

 ただ淡々と話を続ける。
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