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前編
しおりを挟む「貴様! 我が妹を裏でこそこそと虐めていたそうだな! まさかそのような悪女だとはな。まぁいいさ、そういうことなら終わりにすれば良いだけのことだ。エルフィ! 貴様との婚約、本日をもって破棄とする!!」
私には婚約者がいる。
名はオルリッツ。
彼はこの国の王子である。
彼は容姿端麗なのだが、その一方で脳はあまり良質でないようで。すぐに人を信じ過ぎるところがある。それだけならまだいいのだが、私を悪者にしようとする妹の言うことをすぐに信じてしまうのでいちいちこちらが被害を受けることとなり、正直面倒だ。
今日のこれだって、妹の嘘を彼が信じてのことである。
「嘘です」
「馬鹿言うな! 我が妹が嘘をつくはずがないだろう!」
オルリッツは一度思い込んでしまうと絶対に考えを変えない。
だから厄介なのだ。
すぐに嘘を言う妹がいなければ少しはましだっただろうが……。
「私と妹さんは交流がありません」
顔や名は知っている。でもそれはあくまで婚約者の妹としてでだけで。直接喋ったことはないし、挨拶をしたこともない。これまでずっと、本当に、不思議なくらい無関係できているのだ。
「だから! そういうことにしておいて裏で虐めていたのだろう!?」
「虐めてなどいません、絶対に」
「神に誓えるか!?」
「もちろん、誓えます」
「はん! さぞしょぼい神なのだろうな! そんな神ならいないも同然だ」
「一方的にそれは酷いですよ」
「はん! ま、そんなことどうでもいいさ! ようは、婚約を破棄できればそれでいい! 消えろ悪女!! 消えろ消えろ消えろ消えろ悪女くそ悪女ごみ悪女ばばあ悪女ッ!!」
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