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後編
しおりを挟む「ま、まぁいい……本題に入ろう。お前との婚約だが、本日をもって破棄とする!!」
勇ましく宣言するドルテンク。
その面にはまだ微かに恥じらいの色が残っている。
「筋肉女は異種族の妻にでもなれ! 俺には相応しくない!」
彼はそう吐き捨てて、私との縁を一方的に切った。
――さて、婚約破棄されてしまって、これからどうしよう。
そんな風に思っていたのだが。
「うわぁぁぁぁ!」
「大丈夫ですか!?」
婚約破棄されてドルテンクの家から実家へと戻っていた最中、狼に襲われている紅のパーカーを着た男性を救った。
「お怪我は?」
「い、いえ、ありません。……その、とても逞しい女性ですね、狼を二回殴るだけで倒すなんて」
二十代前半と思われるその男性は、狼を拳だけで倒した私に尊敬のようなまなざしを向けてくれていた。
……ちょっと嬉しい。
「怪我がなくて良かったです」
「凄いパワーでした」
「パワーを褒めていただけて嬉しいです」
でもその時はまだ思っていなかった。
この出会いが未来へ繋がる出会いだなんて。
そんなこと、欠片ほども想像していなかった。
しかし。
結論から言うと、私は狼から護った彼と結婚することとなった。
彼は私の事情をきちんと聞いてくれた。そして、それでもいいと、まるごと受け入れてくれた。筋肉もりもりなことも、婚約破棄された経験があることも、すべてを知ったうえで私を選んでくれたのだ。
彼の包容力は凄いものがあると思う。
純粋に尊敬している。
尊敬しあえる関係はいいなぁ、と、彼に出会って改めて思った。
そうそう、ドルテンクはというと、あの後自宅前の庭に一人でいる時に背後から一匹の狼に襲われ大怪我を負ってしまったそうだ。そして、その傷によって徐々に身体が弱り、やがて亡くなったらしい。
私がいれば救えたかもしれなかったのに、と思いつつも、そんなイフは存在しないのだと残念に思う。
◆終わり◆
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