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27.連続謎事件発生!
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コザクラはあの後徐々に回復し、無事学生生活に戻ることができたようだ。
だが、ガーベラ学院内での奇妙な出来事はこれで終わりではなかった。
ある日の夕方、寮の二階を歩いていたカステラが階段から突き落とされる事件が発生。だが、幸いなこともあった。偶然通りかかったカッタルが発見したため、カステラは放置されずに済んだのだ。カステラは一旦保健室へと運び込まれたが、すぐに回復し、自室へ戻ることができたらしい。
ただ、その一件によって、花組内の空気は一変した。
そして、カステラが「突き落とされる直前に見たのは男の人だった気がする」と話したことも、クラス内の空気をさらに重苦しいものへと変えたのだった。
その数日後、第二の事件が発生。
被害者はまたしても花組の生徒、水着本好きのハインだ。
彼は寮の二階の廊下を歩いていた際に何者かに襲われた。彼自身が打ち明けた話によれば、背後から近づいてきた何者かにいきなり口もとを塞がれていつの間にか気を失ってしまっていたそうだ。気を失う直前、甘い匂いを嗅いだ記憶があるらしい。
「甘い匂いのする薬品を嗅がされたということかな? だとしたら……何が目的だったのだろう」
担任のカッタル、そして被害者であるハインから話を聞いたアダルベルトは、独り言にも似た問いを漏らす。
「先生はどのようにお考えですか!」
「そうだな……まだはっきりとは分からない。だが、不自然さは感じるな」
アダルベルトの問いに、カッタルは曖昧な答え方をした。
フレアはもちろん、他の者も、生徒たちはとにかく大きな不安を抱えている。
翌日、第三の事件が起こってしまった。
ターゲットとなったのはミルフィ。教室移動の際、フレアが教室にペンを忘れたことに気づき、ペンを取りに戻っていた。その最中に、事件は起きたのだ。この件は、フレアがミルフィのもとへ戻ってきたことで明らかになった。
倒れているミルフィを見た時、フレアは全身から血の気が引くのを感じた。けれども、「このままじっとしていてはいけない」と強く思い、フレアは誰かに協力を頼もうとする。ちょうどその時リカルドが通りかかった。その後、フレアはリカルドと共に倒れているミルフィを保健室へ運ぶ。
「ん……あ、あら? あたし……何して……?」
「良かった! 目が覚めたのね!」
保健室でミルフィに寄り添っていたフレアは、ミルフィが目覚めたことに歓喜する。
「フレアちゃん……。ここは、保健室?」
「えぇ、そうよ! 運んだの」
「あらそう! ……それは助かったわ。ありがとう」
フレアは授業を初めてサボった。その理由は、ミルフィの傍にいたかったから、という極めて個人的なものである。しかし、サボったことを後悔はしていない。ミルフィはフレアにとって一番特別な存在、一番大切な友人だ。フレアとて、それをサボりの言い訳にできるとは思ってはいない。だが、どうしても近くにいて様子を見守りたかったのだ。
「急に倒れていてびっくりしたわ」
ミルフィの意識が回復し安堵したフレアは、直前までより少し柔らかい表情になって言葉を放つ。
「……あたしもまだまだね」
「え。どういうこと? ミルフィ」
その問いに、ミルフィは答えた。
彼女の話によれば、一人になって数秒後に突如背後から襲われたそうだ。油断していたため敵の顔を見ることはできなかったらしい。が、訓練に使うような剣で攻撃を仕掛けられたことは確かだとか。
「でも、ミルフィの反応速度でも及ばないなんてびっくりね。ミルフィもかなり凄いのに」
「……ほーんと、おかしな話よねぇ。あんな手練れ、そう何人もいるものかしら……」
数日後の朝の会。
花組の教室には凍りつくような冷たい空気が流れている。
「被害者は皆、一人でいるところを狙われている。今のところ重傷者はいないが、万が一ということもあるから、一人になる際には気をつけるように」
教室の一番前に立って、カッタルが述べる。
「危なくなったら走って逃げるように。そして、後から伝えるように。頼む」
朝の会が終わり、一旦解散となる。
しかし、解散しても楽しい雰囲気には戻らない。教室内の空気は重苦しい。
「……まさか、犯人は彼だったりして」
教室内が静かになっていたタイミングで、それまでずっと本を読んでいたイノアが口を開いた。
生徒たちの視線が一気に彼の方へと集まる。
「リカルド、だっけ」
フレアは愕然とした。リカルドが疑われるなんて夢にも思っていなかったから。フレアには、小さい頃から知っているリカルドがそんなことをするわけがない、という確信がある。だが、予想外の疑いの言葉を急にかけられ、フレアは何も言えない状態になってしまった。本当は「リカルドはそんなことしない」と言いたかっただろうが。
「君は一体何を言っているんだい?」
一番に言葉を返したのはアダルベルト。
「考えてみてよ。おかしなことが起こり始めたのは、フレア王女とリカルドとやらが来てからだよね。……担任が殺されたのさえ、ね」
イノアは元よりよく嫌みを言う。だが、根っからの悪人でいるというわけではない。性格が少々捻じ曲がってしまっているだけなのだ。
でも、そう思っていたからこそ、フレアは信じられなかった。
そんなことを言うなんて、と。
「ここが危険地帯なんだとしたら、四月にだって何らかの事件があったはずだよね。でもなかった。そして、二人が来た後、おかしなことが起こり始めたんだよ」
アダルベルトは「だが……あり得るのか? そんなこと」と眉をひそめて呟く。
「ちょ、ちょっと待って! リカルドはそんなことしないわ!」
その頃になってようやく口を動かせるようになったフレアは、リカルドが犯人ではない、と主張する。
「フレア王女、君は何か知っているのかい」
「アダルベルト……。貴方もリカルドを疑うの?」
「いや、まだ分からない。が、何か知っているなら教えてくれ」
フレアはリカルドを疑われることに耐えられず、噛み付きそうになってしまう。が、そんなことをしてはならないと己を律し、攻撃的な口調になるのは抑えた。
「そ、そうね。私に分かるのは……この一連の事件が『私を脅すためかもしれない』ということだけだわ。おかしな手紙のこともあったし、私が狙われている可能性はあるけれど……」
だが、ガーベラ学院内での奇妙な出来事はこれで終わりではなかった。
ある日の夕方、寮の二階を歩いていたカステラが階段から突き落とされる事件が発生。だが、幸いなこともあった。偶然通りかかったカッタルが発見したため、カステラは放置されずに済んだのだ。カステラは一旦保健室へと運び込まれたが、すぐに回復し、自室へ戻ることができたらしい。
ただ、その一件によって、花組内の空気は一変した。
そして、カステラが「突き落とされる直前に見たのは男の人だった気がする」と話したことも、クラス内の空気をさらに重苦しいものへと変えたのだった。
その数日後、第二の事件が発生。
被害者はまたしても花組の生徒、水着本好きのハインだ。
彼は寮の二階の廊下を歩いていた際に何者かに襲われた。彼自身が打ち明けた話によれば、背後から近づいてきた何者かにいきなり口もとを塞がれていつの間にか気を失ってしまっていたそうだ。気を失う直前、甘い匂いを嗅いだ記憶があるらしい。
「甘い匂いのする薬品を嗅がされたということかな? だとしたら……何が目的だったのだろう」
担任のカッタル、そして被害者であるハインから話を聞いたアダルベルトは、独り言にも似た問いを漏らす。
「先生はどのようにお考えですか!」
「そうだな……まだはっきりとは分からない。だが、不自然さは感じるな」
アダルベルトの問いに、カッタルは曖昧な答え方をした。
フレアはもちろん、他の者も、生徒たちはとにかく大きな不安を抱えている。
翌日、第三の事件が起こってしまった。
ターゲットとなったのはミルフィ。教室移動の際、フレアが教室にペンを忘れたことに気づき、ペンを取りに戻っていた。その最中に、事件は起きたのだ。この件は、フレアがミルフィのもとへ戻ってきたことで明らかになった。
倒れているミルフィを見た時、フレアは全身から血の気が引くのを感じた。けれども、「このままじっとしていてはいけない」と強く思い、フレアは誰かに協力を頼もうとする。ちょうどその時リカルドが通りかかった。その後、フレアはリカルドと共に倒れているミルフィを保健室へ運ぶ。
「ん……あ、あら? あたし……何して……?」
「良かった! 目が覚めたのね!」
保健室でミルフィに寄り添っていたフレアは、ミルフィが目覚めたことに歓喜する。
「フレアちゃん……。ここは、保健室?」
「えぇ、そうよ! 運んだの」
「あらそう! ……それは助かったわ。ありがとう」
フレアは授業を初めてサボった。その理由は、ミルフィの傍にいたかったから、という極めて個人的なものである。しかし、サボったことを後悔はしていない。ミルフィはフレアにとって一番特別な存在、一番大切な友人だ。フレアとて、それをサボりの言い訳にできるとは思ってはいない。だが、どうしても近くにいて様子を見守りたかったのだ。
「急に倒れていてびっくりしたわ」
ミルフィの意識が回復し安堵したフレアは、直前までより少し柔らかい表情になって言葉を放つ。
「……あたしもまだまだね」
「え。どういうこと? ミルフィ」
その問いに、ミルフィは答えた。
彼女の話によれば、一人になって数秒後に突如背後から襲われたそうだ。油断していたため敵の顔を見ることはできなかったらしい。が、訓練に使うような剣で攻撃を仕掛けられたことは確かだとか。
「でも、ミルフィの反応速度でも及ばないなんてびっくりね。ミルフィもかなり凄いのに」
「……ほーんと、おかしな話よねぇ。あんな手練れ、そう何人もいるものかしら……」
数日後の朝の会。
花組の教室には凍りつくような冷たい空気が流れている。
「被害者は皆、一人でいるところを狙われている。今のところ重傷者はいないが、万が一ということもあるから、一人になる際には気をつけるように」
教室の一番前に立って、カッタルが述べる。
「危なくなったら走って逃げるように。そして、後から伝えるように。頼む」
朝の会が終わり、一旦解散となる。
しかし、解散しても楽しい雰囲気には戻らない。教室内の空気は重苦しい。
「……まさか、犯人は彼だったりして」
教室内が静かになっていたタイミングで、それまでずっと本を読んでいたイノアが口を開いた。
生徒たちの視線が一気に彼の方へと集まる。
「リカルド、だっけ」
フレアは愕然とした。リカルドが疑われるなんて夢にも思っていなかったから。フレアには、小さい頃から知っているリカルドがそんなことをするわけがない、という確信がある。だが、予想外の疑いの言葉を急にかけられ、フレアは何も言えない状態になってしまった。本当は「リカルドはそんなことしない」と言いたかっただろうが。
「君は一体何を言っているんだい?」
一番に言葉を返したのはアダルベルト。
「考えてみてよ。おかしなことが起こり始めたのは、フレア王女とリカルドとやらが来てからだよね。……担任が殺されたのさえ、ね」
イノアは元よりよく嫌みを言う。だが、根っからの悪人でいるというわけではない。性格が少々捻じ曲がってしまっているだけなのだ。
でも、そう思っていたからこそ、フレアは信じられなかった。
そんなことを言うなんて、と。
「ここが危険地帯なんだとしたら、四月にだって何らかの事件があったはずだよね。でもなかった。そして、二人が来た後、おかしなことが起こり始めたんだよ」
アダルベルトは「だが……あり得るのか? そんなこと」と眉をひそめて呟く。
「ちょ、ちょっと待って! リカルドはそんなことしないわ!」
その頃になってようやく口を動かせるようになったフレアは、リカルドが犯人ではない、と主張する。
「フレア王女、君は何か知っているのかい」
「アダルベルト……。貴方もリカルドを疑うの?」
「いや、まだ分からない。が、何か知っているなら教えてくれ」
フレアはリカルドを疑われることに耐えられず、噛み付きそうになってしまう。が、そんなことをしてはならないと己を律し、攻撃的な口調になるのは抑えた。
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