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1話
しおりを挟む振り向けば、貴方がいた。
「お久しぶり。エイデン」
そう、今日は幼馴染みである彼と待ち合わせをしていたのだ。
「ああ、久々だな。会うのはいつ以来だったか?」
「もう何年か会っていなかったものね」
彼を、エイデンを、最後に見たのは多分十代終わり頃だったと思う。
久々に会った彼は以前よりずっと大人びていた。
少しばかりしわも刻まれてはいるがある意味大人っぽい魅力に満ちている。
時が経ったのだなぁ、なんて、改めて感じた。
「急に会いたいって……何だったんだ?」
「話を聞いてほしくて」
「そうか、なら聞く」
「もしかしてまずかった? 恋人がいるとか?」
「いやそれはない」
「そう、なら良かったわ……誰かに迷惑をかけてまで話を聞いてほしいとは思わないもの」
青空の下、私たちは見つめ合う。
そして穢れなく笑うのだ。
「そろそろ行こうか」
「ええ、そうしましょう」
――そう、私は先日いきなり婚約破棄されたのだ。
婚約者であった青年から「君よりずっと好きなタイプの顔の女性に巡り会って既に深い仲になった、その責任を取って彼女と結ばれたいと思っている。だから婚約は破棄する」と急に言われて。
それで私はそのまま婚約破棄されてしまった、捨てられてしまった。
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