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2話
しおりを挟む「――なるほど、そんなことがあったんだな」
エイデンは私の話を真面目に聞いてくれた。
「それは大変だったな」
「ええ……ありがとう、そう言ってくれて」
「苦労したんだな」
「そうなの。自分で言うのはちょっと変かもしれないけれど……でも、正直、ちょっとショックだったわ」
そっけなくも優しい、そんなエイデンと共にいると、傷ついた心が徐々に癒されていくような感覚に見舞われる。
それからも私はエイデンに話をたくさん聞いてもらった。
辛かったこと、苦しかったこと、などなど。
そういったことを話す時、遠慮も躊躇も要らなかった――これはきっと彼との付き合いが長いからこそだろう。
「あのさ」
「何?」
「良かったら、なんだけど……」
「アイデア?」
「急で悪いんだけどさ」
「ええ」
「恋人に、とか……ならないか?」
エイデンはどこか恥ずかしそうにそんなことを言ってきた。
何がどうなってんだ!?
……ついそんな風に思ってしまう。
さすがに言葉として口から出すことはしなかったけれど。
「恋人に、って……エイデンと恋人になる、ってこと……?」
「ああそうだ」
「ええっ……それはさすがに……いきなり過ぎない?」
「嫌か?」
「べつに嫌ってわけじゃあないけれど……」
「どうだろう?」
「今驚いているの。だから少し待って。戸惑っているとどうしても、上手く返事ができそうになくて……」
この瞬間は脳内が真っ白になっていた。
雷が脳天に落ちたかのように。
それゆえ冷静に対処し相応しい言葉を返すことはできなかったけれど――でも、どことなく、嬉しさはあるような気もしていた。
これはなかなか難しい心情だ。
でも……エイデンとなら良き未来を掴めるような気もしないではない。
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