かつて王子に捨てられ魔の王に拾われた私ですが……幸せに暮らせています!

四季

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前編

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 かつて王子マッロに捨てられ、魔の王フレインベルグに拾われた私だが。

「君は本当に美しい人だな」
「え……何ですか急に」
「いや、本心だ。そう思ったら急に言いたくなってしまってな」
「さすがに戸惑いますよ」
「だとしても、君は本当に美しい女性だ。姿かたちもそうだが、やはり、清い心を持っているところが美しい」

 今、とても愛されている。

 フレインベルグは大きな角が目立つ魔物の血を引いた人物だ。しかしその心には優しさがある。人間なんかよりもずっと広い心を持っているし思いやりだって備えている。

 少なくとも、あの王子マッロよりかは善良だ。

 かつて私を捨てたマッロは、婚約破棄したいがために私に偽りの罪を着せようとするような最低最悪な人だった。

 それに比べれば――いや比べたら失礼かもしれないが――フレインベルグは人格者だ。

 外見が人間とは少々異なっているだけである。
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