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後編
しおりを挟む「今度花を持ってこよう。前に君が気に入っていた中庭の薔薇」
「植わっているやつですか?」
「そうだ」
「駄目です!」
「なぜゆえ」
「生えている花をもぎ取るなんて駄目です、花に優しくありません」
「おお……だがしかし、愛する者に貰ってほしいと花も願っているはずだ」
「植わっているものは植わっているままでいいんです」
「君はいつもそう言うな」
「すべての生命はあるべき場所にあり続けるべき、私はそう思います」
ただ、マッロの悪行のおかげで私はここへ来られた。フレインベルグと出会えたのも彼がいたから、そして婚約破棄してくれたから。それゆえ今はもう彼を恨んではいない。当然許すことはできないのだけれど。それでも、あれも必要なことだったのだと、今はそう思える。そのくらい、この胸には徐々に余裕が生まれてきているのだ。
「それが君の考えなのだな」
「はい」
「では摘み取るのはやめておこう」
「そうしてください」
「なら共にまた見に行くというのはどうだろう? それなら薔薇に迷惑は掛かるまい」
「そうですね。それは良い案だと思います」
「では早速準備を」
「え、もう? ……気が早いですね」
ちなみにマッロはというと、少し前フレインベルグを嘘で勝手に悪者に仕立て上げ彼に襲いかかったのだが――結果彼を激怒させてしまい、その驚くくらい高威力な魔法によって消し飛ばされてしまった。
つまり、マッロはもうこの世にはいないのだ。
◆終わり◆
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