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2話

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 デルタに婚約破棄を言い渡された私は、追放され、住むところさえ失ってしまった。

 私はもう居場所がない。
 絶望していた私のもとに現れたのは——隣国の若き権力者。

「君は聖女だそうだね」
「……でも偽者と言われています」
「わが国に来ないか?」
「えっ……」

 戸惑いはしたけれど、どのみち行くところもないので、私は隣国へ移り住むことにした。

 さようなら、デルタ。
 さようなら、生まれ育った国。

 私は悪女などの呼ばれながら生きる気はない。
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