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前編
しおりを挟む「君とはこれからやっていけない。そんな気がしてきた。ということで! 君との婚約は破棄とする!」
ロングヘアが独創的な婚約者アドロスボモスはある日の昼下がり突然そんなことを言ってきた。
それは彼の家の庭にて二人でのんびりしていた時のことであった。
「え……ちょ、ちょっと……急過ぎないですか……?」
「そうだね、今日初めて告げたからね」
「そうですか……」
「けど、この気持ちは決して揺らぐことのないものだよ。君とは終わりにする、僕はもう強くそう心を決めているんだ」
私たちはどことなくそっけなさもある関係で、でも、仲が悪かったわけではなかった。それゆえ順調だと思っていた。が、どうやらそうではなかったようだ。そこそこ順調に進んでいると思っていたのは私一人だけだったようで。彼の認識は私の認識とは大きく異なったものであったようだ。
悲しいことだ……。
既にすれ違っていたなんて……。
「今日でおしまいだよ」
「……残念です」
「何を言っても無駄だよ」
「はい、分かっています。ですから……受け入れます、婚約破棄」
本当は離れたくない。
今さら関係が壊れてしまうなんて辛い。
でも私は彼の選択を受け入れるしかないのだ。
残念ながら、人間には他者の心を変える能力は備わっていない。
「さようならアドロスボモスさん」
「ああ、さよなら」
のんびりした昼から一変、辛い日となってしまった。
◆
「何よそれ! 最低じゃないの!」
「でもアドロスボモスがそう言ってきたから……仕方ないの、言われてしまったから」
婚約破棄された。
そう伝えたら母は激怒した。
「酷すぎるわ、今さらそんな」
「心配かけてごめん……母さん……」
「あ、いや、そういう意味じゃないのよ!? 貴女は悪くないのよ!?」
「ありがとう」
「酷いっていうのはアドロスボモスくんのことよ。ああもうどうしても許せない……なんてこと! 急にそんなことを言い出すなんて!」
母はどこまでも感情的であった。
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