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後編

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 ◆


 あれから私はあっという間に有名な歌手になった。
 太く響き渡る声に人気が集中したのである。
 今では『歌姫』と呼ばれることもあるくらい良い評判だ。

 今年は国内ツアーも開催された。

 来年はきっともっと活動量が増えることだろう。

 忙しくなりそうだが。
 夢に向かって突き進むのみ。

 私の夢はまだ叶い始めたばかり。

 ここから先へ、道は続いてゆく。

「はぁ~、はいはい、よっとれほい~。あ~、どっこら、しょうしょいしょ~。あぁ~んあ~はい、ほ~いとれ~、しょっ、はいほいほ~れ~」

 舞台上で旋律を奏でる私はもう地味な私ではない!

「はい~とそれそれほ~いとほ~れ~。はい~んはいほいはいとれしょっしょっ。はい~は~いとしょいこれしょっしょこ、はい、ほい、あぁ~んあ~とれ、しょっこいしょっこら、あ~あ~しょっとれ~」

 そういえば。
 これは先日知ったのだけれど。

 ウルフはあの後ある女優と恋愛をしたらしい。

 しかし別れることとなり。

 そのための話し合いの際に「結婚するものと思っていたのに」と言われ、かなり大きな額の慰謝料の支払いを求められたそうだ。

 ウルフは仕方なく払ったようだが。
 それは女優の本命である恋人の男性に流れていたそうだ。

 その事実を知ったウルフは絶望して女性に襲いかかり、勢いのままに殺めてしまって。

 その結果、殺人犯として逮捕されたらしい。


◆終わり◆
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