31 / 55
私が傍にいれば貴方はきっと助かったでしょう……残念でしたね。
しおりを挟む
迫りくる魔物を――斬る!!
湿った空気に満たされた洞窟内で剣を手に戦う。
時に不安の波に襲われることもある。
けれどもそのたびに「そんなものには負けない!」と心を強く決めてより一層真っ直ぐ戦いに打ち込む。
幼い頃から剣で戦うことが好きだった私は、周囲からはいつも変わり者と言われていた。
可愛くない、とか。凶暴すぎ、とか。そんな風にばかり言われて。
しまいには婚約者だったにまでそれを理由に婚約破棄宣言されてしまったほどだった。
けれども私は私が信じる道を歩んできた。
好きなこと。大事なもの。それらを他者のために曲げるようなことはしたくなかったから。
私は私、それでいい。そう思って生きてきて。その結果剣士としてはそこそこ成果をあげることができた。
今は魔物退治を主な仕事とする剣士としてそれ一本で生活できている。
女性はほぼいない環境ではあるけれど、それでも私が存在することを許してくれている周囲の人たちには感謝している。
『お前みたいな野蛮な女は誰にも必要とされねえんだよ! 無価値なんだ!』
あの時、婚約者だった彼が放ってきた言葉。それを忘れることはない。当時の私は傷ついたから。傷つけられた時のことは忘れない。あの頃の悲しい気持ちは今でも思い出せる。ただ、それに縛られることはもうないけれど。
それに、彼が言ったことは間違いだった。
私の存在に価値を見出してくれる人は少なくない。
懸命に戦うことで褒めてくれる人や感謝してくれる人がいるのだから、そんな私が無価値なはずがない。
自分は凄く価値のある存在だ! ……なんて、偉そうに言うつもりはないけれど。
ただ、自信だけは失わないようにしようと思う。
生きている価値はある。
そう信じて歩みたい。
傷つけるようなことを言いたいだけの人の言葉に根底から崩される必要などないのだから。
「お待たせしました! 救助に参りました!」
「あ……ああ、う……ううっ、ありがとう、ございます……」
「もう安心していただいて大丈夫です」
「良かった……! う、うれ、しい……ですっ……。ありがとう、ござい、ますっ……!」
落ち込んでいる暇はない。
心折れている時間はない。
誰かを救うため、私は戦う。
ちなみに元婚約者である彼はというと、私との婚約を破棄して数週間が経った頃魔物に襲撃されたらしく命を落としてしまったそうだ。
◆終わり◆
湿った空気に満たされた洞窟内で剣を手に戦う。
時に不安の波に襲われることもある。
けれどもそのたびに「そんなものには負けない!」と心を強く決めてより一層真っ直ぐ戦いに打ち込む。
幼い頃から剣で戦うことが好きだった私は、周囲からはいつも変わり者と言われていた。
可愛くない、とか。凶暴すぎ、とか。そんな風にばかり言われて。
しまいには婚約者だったにまでそれを理由に婚約破棄宣言されてしまったほどだった。
けれども私は私が信じる道を歩んできた。
好きなこと。大事なもの。それらを他者のために曲げるようなことはしたくなかったから。
私は私、それでいい。そう思って生きてきて。その結果剣士としてはそこそこ成果をあげることができた。
今は魔物退治を主な仕事とする剣士としてそれ一本で生活できている。
女性はほぼいない環境ではあるけれど、それでも私が存在することを許してくれている周囲の人たちには感謝している。
『お前みたいな野蛮な女は誰にも必要とされねえんだよ! 無価値なんだ!』
あの時、婚約者だった彼が放ってきた言葉。それを忘れることはない。当時の私は傷ついたから。傷つけられた時のことは忘れない。あの頃の悲しい気持ちは今でも思い出せる。ただ、それに縛られることはもうないけれど。
それに、彼が言ったことは間違いだった。
私の存在に価値を見出してくれる人は少なくない。
懸命に戦うことで褒めてくれる人や感謝してくれる人がいるのだから、そんな私が無価値なはずがない。
自分は凄く価値のある存在だ! ……なんて、偉そうに言うつもりはないけれど。
ただ、自信だけは失わないようにしようと思う。
生きている価値はある。
そう信じて歩みたい。
傷つけるようなことを言いたいだけの人の言葉に根底から崩される必要などないのだから。
「お待たせしました! 救助に参りました!」
「あ……ああ、う……ううっ、ありがとう、ございます……」
「もう安心していただいて大丈夫です」
「良かった……! う、うれ、しい……ですっ……。ありがとう、ござい、ますっ……!」
落ち込んでいる暇はない。
心折れている時間はない。
誰かを救うため、私は戦う。
ちなみに元婚約者である彼はというと、私との婚約を破棄して数週間が経った頃魔物に襲撃されたらしく命を落としてしまったそうだ。
◆終わり◆
0
あなたにおすすめの小説
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
姉が年々面倒になっていくのを弟と押し付けあっていたのですが、手に負えない厄介者は他にいたようです
珠宮さくら
恋愛
伯爵家に生まれたシュリティ・アガルワルには、姉と弟がいた。両親は、3人の子供たちに興味がなく、自分たちの好きなことをしているような人たちだった。
そんな両親と違い、姉は弟妹たちに何かと外の話をしてくれていたのだが、それがこんなことになるとは思いもしなかった。
よくある父親の再婚で意地悪な義母と義妹が来たけどヒロインが○○○だったら………
naturalsoft
恋愛
なろうの方で日間異世界恋愛ランキング1位!ありがとうございます!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
最近よくある、父親が再婚して出来た義母と義妹が、前妻の娘であるヒロインをイジメて追い出してしまう話………
でも、【権力】って婿養子の父親より前妻の娘である私が持ってのは知ってます?家を継ぐのも、死んだお母様の直系の血筋である【私】なのですよ?
まったく、どうして多くの小説ではバカ正直にイジメられるのかしら?
少女はパタンッと本を閉じる。
そして悪巧みしていそうな笑みを浮かべて──
アタイはそんな無様な事にはならねぇけどな!
くははははっ!!!
静かな部屋の中で、少女の笑い声がこだまするのだった。
聖女の力を妹に奪われ魔獣の森に捨てられたけど、何故か懐いてきた白狼(実は呪われた皇帝陛下)のブラッシング係に任命されました
AK
恋愛
「--リリアナ、貴様との婚約は破棄する! そして妹の功績を盗んだ罪で、この国からの追放を命じる!」
公爵令嬢リリアナは、腹違いの妹・ミナの嘘によって「偽聖女」の汚名を着せられ、婚約者の第二王子からも、実の父からも絶縁されてしまう。 身一つで放り出されたのは、凶暴な魔獣が跋扈する北の禁足地『帰らずの魔の森』。
死を覚悟したリリアナが出会ったのは、伝説の魔獣フェンリル——ではなく、呪いによって巨大な白狼の姿になった隣国の皇帝・アジュラ四世だった!
人間には効果が薄いが、動物に対しては絶大な癒やし効果を発揮するリリアナの「聖女の力」。 彼女が何気なく白狼をブラッシングすると、苦しんでいた皇帝の呪いが解け始め……?
「余の呪いを解くどころか、極上の手触りで撫でてくるとは……。貴様、責任を取って余の専属ブラッシング係になれ」
こうしてリリアナは、冷徹と恐れられる氷の皇帝(中身はツンデレもふもふ)に拾われ、帝国で溺愛されることに。 豪華な離宮で美味しい食事に、最高のもふもふタイム。虐げられていた日々が嘘のような幸せスローライフが始まる。
一方、本物の聖女を追放してしまった祖国では、妹のミナが聖女の力を発揮できず、大地が枯れ、疫病が蔓延し始めていた。 元婚約者や父が慌ててミレイユを連れ戻そうとするが、時すでに遅し。 「私の主人は、この可愛い狼様(皇帝陛下)だけですので」 これは、すべてを奪われた令嬢が、最強のパートナーを得て幸せになり、自分を捨てた者たちを見返す逆転の物語。
今、私は幸せなの。ほっといて
青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。
卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。
そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。
「今、私は幸せなの。ほっといて」
小説家になろうにも投稿しています。
【完結】たぶん私本物の聖女じゃないと思うので王子もこの座もお任せしますね聖女様!
貝瀬汀
恋愛
ここ最近。教会に毎日のようにやってくる公爵令嬢に、いちゃもんをつけられて参っている聖女、フレイ・シャハレル。ついに彼女の我慢は限界に達し、それならばと一計を案じる……。ショートショート。※題名を少し変更いたしました。
私ですか?
庭にハニワ
ファンタジー
うわ。
本当にやらかしたよ、あのボンクラ公子。
長年積み上げた婚約者の絆、なんてモノはひとっかけらもなかったようだ。
良く知らんけど。
この婚約、破棄するってコトは……貴族階級は騒ぎになるな。
それによって迷惑被るのは私なんだが。
あ、申し遅れました。
私、今婚約破棄された令嬢の影武者です。
【完結】冷遇され続けた私、悪魔公爵と結婚して社交界の花形になりました~妹と継母の陰謀は全てお見通しです~
深山きらら
恋愛
名門貴族フォンティーヌ家の長女エリアナは、継母と美しい義妹リリアーナに虐げられ、自分の価値を見失っていた。ある日、「悪魔公爵」と恐れられるアレクシス・ヴァルモントとの縁談が持ち込まれる。厄介者を押し付けたい家族の思惑により、エリアナは北の城へ嫁ぐことに。
灰色だった薔薇が、愛によって真紅に咲く物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる