ただの幼馴染みと寝室でいちゃつくのは普通ではないと思います

四季

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1話

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 今まさに、私は驚きの渦の中にいる。
 婚約者と見知らぬ女性が寝室で抱きしめ合っている光景が目の前に広がっているから。

「ねぇ、フルベル様、この女誰?」

 私の婚約者にそう尋ねるのは、見たことのない赤毛の女性。
 一応服は着ているが、しなっとした薄い生地のワンピースで、心身体の凹凸が視認できる状態になっていた。

 そんな彼女の身体を、私の婚約者であるフルベルは、両腕で優しく抱き寄せている。

「フルベル、何をしているの……?」
「気づかれてしまった、か」

 私は数ヶ月前彼と婚約した。そして、それからというもの、一週間に一回程度は彼の家に遊びに来ていた。毎日会いに来たり同棲してりはできないが、定期的に顔を合わせることで関係を築いてきた。

 だから今日も何も思わずここへ来た。

 そして見てしまったのだ、この光景を。

「アマレリス、勘違いしないでくれ。俺とリシリアはただの幼馴染みだ」
「幼馴染みとそんな風に抱き合うの?」
「あぁ。俺たちの関係は昔からこんな感じなんだ」

 フルベルが気づいているのか気づいていないのかは知らないが、フルベルを見つめるリシリアの瞳は明らかに恋する乙女のそれだ。単なる幼馴染みなら、こんな、輝いた瞳で見つめるはずがない。

「だから気にするな」
「……何を言っているの? 気にするわよ、そんな風にいちゃつかれたら」

 せめて一旦離れたらどうか。

 この状況でまだ身体をくっつけ合っているというのは、正直、普通の行動とは思えない。
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