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前編
しおりを挟む私には婚約者がいましたの。
けれども彼は裏切りました。
私の親友と裏で関わりを持ち、しかも、常識の範囲内とはとても言えないような過剰な関係性にまで発展していたのです。
彼のことを愛していなかったわけではありませんわ。それに、小さなことにまであれこれ口出しして彼から自由を奪う気も、特にはありませんでした。その証拠に、これまでたまに女性と関わっているところを見ても見て見ぬふりをして差し上げてきました。
けれども!
今回ばかりはもう許すことはできませんわ。
だって彼――彼女と、夫婦が行うようなことを行っていたのですもの。
論外ですわ。
さすがに許せません。
話になりませんわ。
「貴方との婚約は破棄致します。これまでは見ぬふりして差し上げていましたけれど、今回はさすがにそういうわけには参りませんので。ではこれにて。さようなら」
そう言って、彼を切り捨てました。
その日は泣いて泣いて。
けれども夜が明けたら。
もう泣きはしないと心を決めたのです。
私の未来は終わったわけではない、ならば、真っ直ぐに前を向いて歩まなければ。
私は負けません。
あ、ちなみに、彼から慰謝料をもぎ取ることには成功しましたわ。父の知人にそういうことに詳しい人がいたのです。その人に協力していただいて、無事、支払ってもらうことができました。
その点は、良かったですわ。
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