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後編
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私はあれからもナトゥ菌の研究を重ね、やがて世界的な賞を受賞するまでになった。
菌の画期的な人体への効能を見つけることに成功したのだ。
名誉も、お金も、すべてを手に入れることができた。
私の人生はたった一つの発見によって大きく変わった――もうかつてのような地味な日々ではない、今ここにあるのは多くの人たちから感謝され称賛される日々だ。
正直、ナムレットに婚約破棄された思い出なんてもうどうでもいい。
そうそう、そういえば、ナムレットはあの後ある病にかかり数ヶ月の療養の果てに死亡したそうだ。
その病の治療にはある菌を投与することが必要だったそうなのだが、彼はそれを「絶対に嫌だ! 菌を植え付けられるなんて! 屈辱だ!」と言って断固拒否。
その結果、回復の方向へ進むことはできず。
そのまま彼は衰弱していって、やがて死亡したのだそうだ。
死ぬかもしれないなら菌に頼れば良かったのに。
そんな風に思うのはそれに慣れ親しんでいる私だからなのだろうか……。
ただ、彼には、どうしても菌というものが受け入れられなかったのだろう。まぁ、世の中には、そういう人もいるだろう。ただそれだけのことで、受け入れられないというだけのことで、落命するなんて悲しいことだ。とはいえそれもまたその人の選択で。その人の人生なのだ。
そういう意味では、他人があれこれ言うことではないのかもしれない。
◆終わり◆
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