聖女だった私は突然追放されましたが、運良く(?)魔王に保護してもらえることになりました。

四季

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1話「私は必要なくなったそうです」

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 聖女。それは国を護る力を持った女性のこと。能力の具体的な種類には色々なものがあり、一様ではない。ただ、どの聖女も、雇われている国を護る力を有している。

 そして、私もまた、その一人である。

 私、フレイナ・カモミールは、アルベール王国に十年以上仕えてきた聖女だ。

 現在二十歳。最初に王城へ連れられてきた時の記憶は曖昧だが、まだ十歳にもなっていなかった頃だと思う。

 これまでそこそこ頑張ってきたと思っていた。アルベール王国に平穏が訪れることを願い、私にできることはすべてしてきた。だから、いつまでもこんな日が続いていくのだろうと、信じて疑わなかったのだ。

 だが、そんなものはただの幻想でしかなかった。

「この国に聖女などというものは必要ない! そんなものは時代遅れだ! これからのアルベールは、武力で生き抜いてゆくのだ!」

 多くの国民がいる前で、私は突然そんなことを言われてしまった。
 私は最初何が起きたのか理解できなかった。それは国民も同じのようで、皆、動揺を隠せていなかった。国民の反応も当然だと思う。何の前触れもなくいきなりこんな話が出てきたら、驚かずにはいられないだろう。

「フレイナ・カモミール、お前の存在は必要なくなった。去れ」
「……承知しました」
「よし。では本日の件はこれにて終了とする」

 あぁ、どうしてこんなことになってしまったのだろう。おかしなことなんて何もしていないはずなのに。まっとうに生きてきたはずなのに。それなのに、どうしてこんな、残念な結末を迎えてしまったのだろう。

 脳内の整理も追いつかないまま、私はアルベール王国から追い出された。


 少しだけの私物をまとめ、こっそり城を出る。

 聖女と呼ばれ重宝されていた頃がもはや懐かしい。今はもう、門番にお辞儀もされない。生きていれば生きているほど虚しくなってしまう。

 それでも、死ぬ道を選ぶことはできない。

 追い出されたからといって自ら死んだら、私の人生は一体何だったのか、ということになってしまう。誰のための人生だったのか。アルベール王国のためだけの人生だったのか。そんな風に思わざるを得なくなってしまう。

 だから私は生きる。

 情けなくても、かっこ悪くても、それでも生きてゆくしかない。

 そんな思いだけを抱いて歩き続けたが、行くあてもなく、ついに力尽きて気を失ってしまった。
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