二十一歳の時に婚約した婚約者がいましたが、どうやら彼は私に飽きてしまったようです。

四季

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後編

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 突き飛ばされて、尻から転倒してしまう。

 打った腰が痛い……。

「永遠におさらばだ」

 彼は転倒した私を放置して扉を閉じた。

 え……? こんな感じで終わり……?


 ◆


 婚約破棄後の私と彼、その未来は驚くほど真逆のものであった。

 私はクリスピアと別れた後間もなく姉の紹介で知り合った男性と定期的に会うようになり、やがて結ばれた。

 彼はとても思いやりのある人で。
 こう言っては失礼かもしれないが、クリスピアよりもずっとずっと良い人だったのだ。

 彼といる時、私はありのままの姿で生きていられる――不思議なことだがそんな感じなのだ。

 まるで遠い昔から家族であったかのような、そんな感覚。

 こんなことを言うと夢見がちな乙女みたいで若干恥ずかしいけれど――ただ、もしかしたら、彼との間には不思議な縁があるのかもしれない。

 運命の人なんて言わないけれど。

 でもそれに近いような何かを私は強く感じているのだ。

 一方クリスピアはというと、惚れた女性と恋人になるもその先について話した際に「そういうのは無理、考えていない」とはっきり言われてしまい、そのショックで彼は衝動的に死を選んでしまったそうだ。

 彼が選んだ死の方法は、とてつもなく強い毒のあるきのこを食べる、ということであった。

 ちなみにその毒きのこは彼の家の裏庭に昔から生えているやつである。


◆終わり◆
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