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前編
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「貴様との婚約、破棄とする!!」
告げられたのは雨の日だった。
婚約者フィッチは吐き捨てるように言って。
私を鋭く睨んだ。
彼の横には私の妹ルルがいる。
彼女は昔から私を虐めてきていた。
そして今も私を勝ち誇ったように見下して。
馬鹿にするように笑みを浮かべている。
「残念ね、お姉様。ルルに勝てなくて。惨めな敗者は泥でも啜っていなさい」
こうして私は婚約者を奪われた。
「貴様、いつまでそこにいるつもりだ。さっさと出ていけ! そして、我が家には、二度と立ち入るな! これからはルルしか家に入ることを許さない!」
フィッチは最後まで心なかった。
私は絶望してフィッチの家から去る。
まさか婚約者を奪われるなんて。
しかも実の妹に。
そしてあんな風に見下されるなんて。
悔しい――そう思った時、近くの水溜まりから一人の女性が姿を現した。
『帰るのですか?』
「え」
『あのようなことをされ、黙って下がれるのですか』
「あ――貴女は、一体?」
女性は自身を女神であると名乗った。
『貴女に力を授けましょう。それで復讐してきなさい』
「あ……あの、悪魔、ですか?」
『違います。あの妹にはずっと虐められてきたでしょう、ここでやり返してやらねばもう機会はありませんよ』
「……復讐」
『透明になる力を与えましょう』
「すみませんが、意味が」
女性が片腕をこちらへ伸ばせば、私は透明になった。
「ええっ!?」
『それが透明になる力です』
「本当に……透明に……嘘みたい、魔法……?」
『それを使ってあの無礼者たちに復讐なさい』
復讐なんて考えていなかったけれど。
言われればその気にもなってしまうもので。
「……やってきます!」
もう悪でもいい。
どうせ誰にも愛されないのだから。
私はフィッチとルルに復讐することにした。
その後私は透明なままフィッチの家へ戻った。たまたま開いていた裏庭の門から家の中へ入る。そしてフィッチの自室へ向かうと、扉の隙間からフィッチとルルがいちゃついているのが見えた。
「もぅ~駄目ですよぉ、フィッチ様のせっかちぃ」
「いいじゃないか、ちょっと飲むだけだろ?」
「嫌ですよぉ、やめてくださいよぉ~」
「はぁ? ふざけんなよ?」
「……っす、すみません! 飲みます!」
「よーしよしよし! それでこそ俺のルル! さ、飲むぞ! 今夜はたっぷり楽しもうな!」
告げられたのは雨の日だった。
婚約者フィッチは吐き捨てるように言って。
私を鋭く睨んだ。
彼の横には私の妹ルルがいる。
彼女は昔から私を虐めてきていた。
そして今も私を勝ち誇ったように見下して。
馬鹿にするように笑みを浮かべている。
「残念ね、お姉様。ルルに勝てなくて。惨めな敗者は泥でも啜っていなさい」
こうして私は婚約者を奪われた。
「貴様、いつまでそこにいるつもりだ。さっさと出ていけ! そして、我が家には、二度と立ち入るな! これからはルルしか家に入ることを許さない!」
フィッチは最後まで心なかった。
私は絶望してフィッチの家から去る。
まさか婚約者を奪われるなんて。
しかも実の妹に。
そしてあんな風に見下されるなんて。
悔しい――そう思った時、近くの水溜まりから一人の女性が姿を現した。
『帰るのですか?』
「え」
『あのようなことをされ、黙って下がれるのですか』
「あ――貴女は、一体?」
女性は自身を女神であると名乗った。
『貴女に力を授けましょう。それで復讐してきなさい』
「あ……あの、悪魔、ですか?」
『違います。あの妹にはずっと虐められてきたでしょう、ここでやり返してやらねばもう機会はありませんよ』
「……復讐」
『透明になる力を与えましょう』
「すみませんが、意味が」
女性が片腕をこちらへ伸ばせば、私は透明になった。
「ええっ!?」
『それが透明になる力です』
「本当に……透明に……嘘みたい、魔法……?」
『それを使ってあの無礼者たちに復讐なさい』
復讐なんて考えていなかったけれど。
言われればその気にもなってしまうもので。
「……やってきます!」
もう悪でもいい。
どうせ誰にも愛されないのだから。
私はフィッチとルルに復讐することにした。
その後私は透明なままフィッチの家へ戻った。たまたま開いていた裏庭の門から家の中へ入る。そしてフィッチの自室へ向かうと、扉の隙間からフィッチとルルがいちゃついているのが見えた。
「もぅ~駄目ですよぉ、フィッチ様のせっかちぃ」
「いいじゃないか、ちょっと飲むだけだろ?」
「嫌ですよぉ、やめてくださいよぉ~」
「はぁ? ふざけんなよ?」
「……っす、すみません! 飲みます!」
「よーしよしよし! それでこそ俺のルル! さ、飲むぞ! 今夜はたっぷり楽しもうな!」
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