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後編
しおりを挟むいちゃつきながらグラスを傾けている二人。
幸せそうな顔をしている。
私は恐る恐る二人に接近し、テーブルに置かれていたグラスを勢いよく落とす。
グラスは割れた。
床にしみができる。
「ひゃっ……」
「な、何が起きたんだ?」
動揺する二人。
「今の何ですかぁ……?」
「分からない」
「怖いィィィィィィ!!」
「お、落ち着け、落ち着けルル」
グラスの破片を持ち上げ、フィッチの頭の上に置いていく。
「寄らないでぇっ!!」
フィッチを突き飛ばすルル。
「お、おい! 何なんだよ!」
「だってぇ……さっきの、破片、が……フィッチ様の頭の上に……」
「え?」
「置か、れて……呪いですよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ルルは慌ててフィッチから離れる。そしてそのまま窓の方へ走った。窓枠に手を当てて、震える。風が細く吹き込んでいた。私は彼女の腰を持ち上げ、そのままひょいと窓の外へ落とす。
「ルル!?」
「……ぁ、ぃ、やああああああああ!!」
ルルは窓から落ちていった。
次はフィッチだ。
彼へは長年の恨みはない。
けれども。
ソファを持ち上げ、振り回す。
「う、う、うわわわわわわわ!?」
逃げ回るフィッチ。
でも逃さない。
「う、わっ、うっ、わわっ、う、わ、うっ、ぐぷぅふぇッ!!」
ソファで殴られたフィッチはその場で気を失った。
死んではいないかもしれない。
でもそれでも構わない。
彼に対してはそこまで積み重なった恨みはないから。
◆
あれから数年、刺繍の仕事をしていた私は工場長にその努力を認められその人と結婚することができた。
今は副工場長としてたまに働いている。
けれど子ができるまでの間だけだ。
その後は――子育てに集中したいと思っているし、夫もそれを望んでいる。
◆終わり◆
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