「君を誰よりも愛している」と言っていた婚約者ですが……自室に女を連れ込んでいちゃいちゃしているってどういうことですか!?

四季

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後編

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「なっ……」

 動揺するエーギル。

「ど、どうして、君がここに」
「ええと……これは一体どういうことなのかしら?」
「え、あ、あ、あ」
「どうして他の女性がいるの? エーギル、私と婚約しているのよね?」

 エーギルの顔はみるみる青くなっていく。

「これは……裏切り、よね」
「ち、違うんだ! そうじゃない! これは遊び!」
「……遊び?」
「ああそうだそういうことなんだ遊びなんだ本当に! 本気などではない、だから浮気ではないっ」

 慌てて何を言ってももう手遅れ。

「残念だわエーギル。……婚約、破棄します」

 もう我が心は決まっているのだ。

「ま、待って! 待ってください! そんな、その、そんなつもりではっ……本当に、これは、た、ただの出来心、で……あ、あっ、あっ、ああ、あ、あそ、あっ……遊びなんです! 信じてください! お、おお、っぉ、お、おおおお、お願いします! お願いしますお願いします!」

 エーギルは騒いでいたが、私はそれを無視した。


 ◆


 あの後エーギルはいちゃついていた女性からも捨てられたようだ。

 恐らく理由は――あの時に慌てて「遊びだ」なんて言ったからだろう、誰だって自分との関係をそんな風に言われれば嬉しくない。

 結局エーギルは両方から見放されたのである。

 で、その後彼はショックで幼児退行してしまい、今は馬車の模型を手に「がたごとがたごと」などと言いながら遊ぶことしかできなくなってしまっているそうだ。

 だがまぁ自分の行動が招いたことである。

 私のせいではない。


 ◆


「結婚おめでとう! 幸せになってね!」
「おめでとう。お前なら大丈夫だ、きっとな。幸せを掴めよ」

 両親の言葉に涙をこぼした。

 あれから数年、私は今日愛しい人と結婚する。

 ここへ来るまで様々な困難があった。
 エーギルとのことも含まれている、というより、ほぼそれ関連だが。

 でもそれを乗り越え、ただひたすらに真っ直ぐ道を歩いてきて――ついにこうして幸せな日を迎えられたのだ。


◆終わり◆
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