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3話

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 数ヶ月が経った頃。
 私は集めた証拠品を手にアダムスと話をすることにした。

「話って何だい?」
「実はね、婚約を破棄したいの」

 アダムスはちっと舌打ち。

「そんなことかよ。くっだらねーなぁ。ふざけんな」

 彼は不快感を隠そうともしない。

「これを見てもそんなことが言える?」

 私は証拠品の一部をちらりと見せる。
 彼の顔面が青く染まった。

「な……そ、そんなもの! ふざけるな!」
「これがあれば婚約破棄だって簡単よ。正当な理由があると証明できるわ」
「ふ、ふざけるな!」
「ふざけてはいないわ。では、失礼するわね」

 その日、私は、逃げるようにアダムスの家から去った。
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