「お姉さまみたいな地味な人を愛する殿方なんてこの世にいなくってよ!」それが妹の口癖でした、が……

四季

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3話

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 ◆


 その後私はパトレットと結ばれた。
 向こうから「ぜひ前向きな未来を想定して交流したい」と申し出があって始まった縁は無事ゴールインしたのだ。

 誰かに優しく愛されるのは初めてで、彼と過ごす時間はとても愛おしいものだった。

 一方ルーネはというと、私が先に異性から選ばれたために情緒不安定になってしまったようだ。
 実家の近所の人からは「妹さん、よく暴れてるみたいね」とか「先週なんてねぇ、夜中に叫んでたわよ」とか言われる始末である。

 先日どうしても行かなくてはならない用事があって実家へ戻った時には。

「何よあいつ! 姉のくせにあたくしより愛されるなんてずるい! あたくしの方が絶対魅力的なのに! 美しいのに! きいいいいい!! 何なのよ、あんなやつ誰にも愛されないはずなのに! きいいいいいい!! きえええええええええ!!」

 ルーネが自室でそんなことを叫んでいるのを聞いてしまった。

「あたくしの方が絶対に女として上なのに! 上なの! 上なのよ! 誰からも愛されているのよぉぉぉぉぉぉ!! なのに何なのあの男、あいつのことしか見ないであたくしに冷たくして……きえええええええ!! 許せないわ! 絶対に許せないのおおおおおお!! ぶっ潰してやるわああああああああ!! いつか絶対にぃぃぃぃぃぃ!! 滅べ姉滅べ地味女、今すぐこの世から消え去れええええええええ!!」

 ……怖すぎたので、もう実家へは行かないことに決めた。


 ◆


 あれから数年、ルーネは誰からも愛を告げてもらえないことに耐えられなくなり自ら死を選んだそうだ。


◆終わり◆
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