急に外泊が増えた婚約者、本人は仕事と言うけれど……

四季

文字の大きさ
2 / 3

2話

しおりを挟む
「タイプーンの仕事って、これなんでしょ?」

 テレカはタイプーンの目の前に一枚の写真を出す。
 その写真というのは、タイプーンとカルタがもたれかかり合うようにして道を歩いているものである。

 それを見たタイプーンは動揺を隠せない。

「私の妹のお守りがあなたの仕事?」

 テレカは冷ややかな視線を彼に向けつつ尋ねた。

「あ……これ、この時、実は偶然街でカルタさんに会ったんだ」
「そう」
「カルタさん、足をくじいてしまっていて、それで……」
「じゃあこれもそうなのね?」

 テレカは次の写真を差し出す。

 今度は広場のベンチで軽いキスを交わしている写真。
 この一枚を見れば誰だって分かる、二人は愛し合っているのだと。互いを想い、傍にいたいと思い合っているのだと。そうでないとしたら、街中でキスを交わしたりはしないだろう。それは誰にでも分かることだ。

「まだあるのよ」
「うっ……」
「本当のことを言って。タイプーン、あなた、カルタと愛し合っているのね」
「そ、そんなことはっ……! いつだって、君を……!」
「嘘ね。この様子だと、私と過ごしている時間よりカルタと過ごしている時間の方が長そうじゃない。いい?嘘はつかなくていいから。本当のことを答えて」

 テレカは冷静さを保ちつつ着実に追い詰める。
 やがてタイプーンはごまかすことを諦めた。

「……はい、ごめんなさい。実はそうなんだ。カルタとは一緒にいると楽しくて……」

 姉の婚約者に手を出す妹にも問題はあるが、まんまと乗せられている彼自身にも問題はある。

「これはもう婚約破棄ものね」
「そ、そんな……!」
「カルタと婚約すればいいじゃない」
「ずっと君だけを愛してきたのに……!」

 テレカはもうやり直す気はなかった。

 いや、そもそも、妹と男の奪い合いなんてしたくなかったのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】何でも奪っていく妹が、どこまで奪っていくのか実験してみた

東堂大稀(旧:To-do)
恋愛
 「リシェンヌとの婚約は破棄だ!」  その言葉が響いた瞬間、公爵令嬢リシェンヌと第三王子ヴィクトルとの十年続いた婚約が終わりを告げた。    「新たな婚約者は貴様の妹のロレッタだ!良いな!」  リシェンヌがめまいを覚える中、第三王子はさらに宣言する。  宣言する彼の横には、リシェンヌの二歳下の妹であるロレッタの嬉しそうな姿があった。  「お姉さま。私、ヴィクトル様のことが好きになってしまったの。ごめんなさいね」  まったく悪びれもしないロレッタの声がリシェンヌには呪いのように聞こえた。実の姉の婚約者を奪ったにもかかわらず、歪んだ喜びの表情を隠そうとしない。  その醜い笑みを、リシェンヌは呆然と見つめていた。  まただ……。  リシェンヌは絶望の中で思う。  彼女は妹が生まれた瞬間から、妹に奪われ続けてきたのだった……。 ※全八話 一週間ほどで完結します。

好きな人ができたなら仕方ない、お別れしましょう

四季
恋愛
フルエリーゼとハインツは婚約者同士。 親同士は知り合いで、年が近いということもあってそこそこ親しくしていた。最初のうちは良かったのだ。 しかし、ハインツが段々、心ここに在らずのような目をするようになって……。

お前は要らない、ですか。そうですか、分かりました。では私は去りますね。あ、私、こう見えても人気があるので、次の相手もすぐに見つかりますよ。

四季
恋愛
お前は要らない、ですか。 そうですか、分かりました。 では私は去りますね。

貴方が望むなら死んであげる。でも、後に何があっても、後悔しないで。

四季
恋愛
私は人の本心を読むことができる。 だから婚約者が私に「死んでほしい」と思っていることも知っている。

失礼な人のことはさすがに許せません

四季
恋愛
「パッとしないなぁ、ははは」 それが、初めて会った時に婚約者が発した言葉。 ただ、婚約者アルタイルの失礼な発言はそれだけでは終わらず、まだまだ続いていって……。

甘やかされすぎた妹には興味ないそうです

もるだ
恋愛
義理の妹スザンネは甘やかされて育ったせいで自分の思い通りにするためなら手段を選ばない。スザンネの婚約者を招いた食事会で、アーリアが大事にしている形見のネックレスをつけているスザンネを見つけた。我慢ならなくて問い詰めるもスザンネは知らない振りをするだけ。だが、婚約者は何か知っているようで──。

幼馴染、幼馴染、そんなに彼女のことが大切ですか。――いいでしょう、ならば、婚約破棄をしましょう。~病弱な幼馴染の彼女は、実は……~

銀灰
恋愛
テリシアの婚約者セシルは、病弱だという幼馴染にばかりかまけていた。 自身で稼ぐこともせず、幼馴染を庇護するため、テシリアに金を無心する毎日を送るセシル。 そんな関係に限界を感じ、テリシアはセシルに婚約破棄を突き付けた。 テリシアに見捨てられたセシルは、てっきりその幼馴染と添い遂げると思われたが――。 その幼馴染は、道化のようなとんでもない秘密を抱えていた!? はたして、物語の結末は――?

婚約者の座は譲って差し上げます、お幸せに

四季
恋愛
婚約者が見知らぬ女性と寄り添い合って歩いているところを目撃してしまった。

処理中です...