ある雨の日のこと、わがまま妹は無理矢理婚約者のところへ出掛けていったのですが……。

四季

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2話

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 ◆


 数時間後。

「おかあさまああああああ!!」

 ネルネンは泣きながら帰ってきた。
 全身ずぶ濡れだ。

「どうしたの!?」
「アロス様にぃぃぃぃぃぃ! 婚約破棄ぃぃぃぃぃぃぃ! されだああああああああ!!」

 顔を濡らすのは、雨か、涙か。

 もはやそれすら分からないほどネルネンの面は濡れきっている。

 目もとなんて真っ赤に腫れて。

「な、な、何ですって!? どういうこと!?」
「わがままだからってええええええ! もう付き合っていけないってええええええ! 婚約破棄されたのおおおおおお!」
「取り敢えず身体を拭かないと」
「アロス様があああああ! あたくしのことぉぉぉぉぉぉ! 最低な女だって言ったぁぁぁぁぁぁぁぁ! 酷い、酷い、びどずぎるよおおおおおおお!!」

 泣いているのは気の毒で、しかし――ほんの少しだけざまぁと思う部分もあった。

 悪いことかもしれないけれど。
 でも、これまでずっと彼女に振り回されてきた私からすれば、彼女もたまにはそういう目に遭えばいいと思ってしまうのだ。

 他人の不幸を喜ぶなんて悪だと分かってはいるけれど。

 日頃から彼女に対しては複雑な思いがある、だからこそ、今は少しすっとしている。

「婚約破棄されるなんてええええええ! 恥ずかしくてええええ、もう、お外歩けないぃぃぃぃぃぃ! 嫌よぉぉぉぉぉぉ! こんな惨めなのはぁ! 嘘だと言ってえええええええ! お母さまどうにかしてええええええ!」
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