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3話「あれから数日が経ち」

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 あれから数日。
 精霊王はすっかり元気になった。

「もう大丈夫そうですか?」
「はい! こちらの環境にもそろそろ慣れてきました!」

 そんな風に話をしていた時、玄関のチャイムが鳴った。

 私が出ると。

「久しぶりだな」

 ドボスが立っていた。

「あ……、何でしょうか」
「実は話があってな」
「すみませんが貴方とお話する気はありません」
「いいから聞けよ!!」

 はぁ、どこまでもついていない。
 せっかく精霊王と喋っていたのにこんな人に邪魔されるなんて。

「やり直さないか」
「はい?」
「もう一度婚約しよう」

 意味が分かりませんが。

「悪い話じゃないだろう? もう一度やり直せるのだから」
「お断りします」
「なっ……なんという無礼な女!!」

 カッとなったドボスが殴ろうとしてきたのだが……瞬間、彼の頭部を水の球が包み込んだ。

「ぼ!? ぐぼぼ、ぼぼ、ぼぼぼっ!?」

 顔が水に覆われまともに話せないドボス。

 振り返ると、精霊王が立っていた。

「困っているみたいなのでお手伝いしますね!」
「精霊王さん……」
「え? 駄目でした?」
「あの……人間は呼吸ができないと死ぬので、そろそろ……」
「それは! 大変ですね! ではっ」

 精霊王は指をぱちんと鳴らす。
 すると水の球が弾けて消えた。

 激しくむせるドボス。

 彼は呼吸が落ち着いてから、「こんな化け物飼ってやがるとは……」と呟き、不機嫌そうに去っていった。

「撃退成功ですね!」
「ありがとうございます、助かりました」
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