婚約破棄を告げられた令嬢は魔物を知って育てたい! ~そして彼女は称賛の的となってゆく~

四季

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前編

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 そこそこ資産のある家に生まれたタランテ・タランカは、家が森の近くだったということもあり、魔物に馴染んで育ってきた。

 この国における魔物とは、悪しきものだけではない。
 種類にもよるが、人々の生活の質を向上させる働きをするものも少なくはない。

 ただ、魔物への印象はいまだにあまり良くない部分もあって。

 魔物と仲良くしていたり魔物を飼っていたりするだけで悪く受け取られることというのも、やはり、まったくないわけではない。

 そしてタランテも。

 魔物への良くない印象によって損をすることとなる。

「お前、魔物を飼っているらしいな。噂によれば卵も持っているとか」
「それがどうかしましたか?」
「悪魔の手先を育てようとは! 悪魔だな!」
「すみません意味が」

 タランテは婚約者アーガルにびしっと指をさされてしまう。

「そんな怪しい女を我が家に入れることはできない! よって! 婚約は破棄とするっ!!」

 開戦の号令のように勇ましく。

 アーガルはタランテとの関係を終わらせることを宣言した。
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