愛し合っているからと私という犠牲の上に立って結ばれた二人は、どうやら幸せにはなれなかったようです。

四季

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後編

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 ◆


 あの風船の件から一年とちょっとが経った。
 今日、私は、南の国の王子であるアルファと結婚する。

 風船の時の彼である。

「今日もとても美しいよ!」
「あ、ああ、ありがとう……相変わらず元気ね、アルファは」
「うん! だって最高の日だしね!」
「ふふ、見てる方まで元気になりそうだわ」
「美しい君も元気をくれるよ! ま、おめかししてなくてもそれでも可愛いんだけどね。でも! 綺麗にしてるとより一層輝いているように思うよ!」

 私たちは今ここから新たな一歩を踏み出す。

「……アルファ、これからもずっと、いつまでも……私たち、こんな風に笑っていましょうね」

 だからこそ、笑顔で。

 ――この特別な日を生きよう。


 ◆


 後に知った話だが、アストリオとルルーナはあの後結婚したらしい。

 だが二人は幸せにはなれなかったようだ。

 結婚を機にルルーナの実家で同居を始めたアストリオだったが、実はそれは罠で――拷問趣味のあるルルーナの父親の餌食となってしまったアストリオは、地下室に監禁され、毎日悪質かつ過激な拷問を受けることとなってしまったそう。

 で、それによって数週間で亡くなってしまったそうだ。

 そしてアストリオの死を嘆き悲しんでいたルルーナにも悲劇が降りかかる。

 罪が明るみに出たために一家の大黒柱である父が逮捕され失職、それによって生活費がなくなってしまい、家族会議の果てにルルーナは売りに出されることとなってしまったそう。

 そうしてルルーナは奴隷に堕ちたらしい。

 二人は愛し合っていたかもしれないが、だからといって幸せになれると決まっているわけではなく――私という犠牲の上に立って幸福を掴むことは、どうやらできなかったようだ。


◆終わり◆
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