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前編
しおりを挟む私の婚約者である青年ルートヴィヴィは一見真面目そうな人物だ。
しかし実際には結構な遊び人である。
しかもその遊びというのが大概女遊び、見た目とは違ってとんでもなく女好きなルートヴィヴィ。
そんな彼と婚約しているとたびたびややこしいことが起こる。
たとえば勘違いした恋人面女から突撃されたうえ「早く彼の前から消えてください! 彼、困ってますよ!」とか言われたり、婚約者が粘着質などと変な偽りの噂を流されたり――とにかくいろんな意味で迷惑している。
ただ、そこまで好き放題しながらも、ルートヴィヴィはなんだかんだでまだ私のところにいる。
実際に別れようとか婚約破棄とかは言ってこない。
そこが余計にややこしいところだ。
他の女を好きになったのなら私のことはさっさと捨ててほしい。そうすれば一時は傷ついたとしても解放される。私は自由を得て、また新しい相手を求めて翼を広げられるだろう。しかし彼はいつまでも私の横にいる、それゆえ私はいつまでももやもやしたまま彼のところにいなくてはならないのだ。
なんだこの貧乏くじ……。
ただ、それでも、私はこれまでずっと耐えてきた。
しかしもう限界!
いつまでこんなことを繰り返せば終わるのか!
ということで、次そういうことが発覚したら即座に関係を終わらせようと思う。
心は決めた。
もう絶対に揺らいだりはしない。
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