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3話
しおりを挟む「では今すぐ去ってください」
「何でだよ」
「もうその顔を見たくないからです」
はっきりと言ってやる、すると。
「ふ、ふざけるなあぁぁぁぁ!!」
モリースは急に殴りかかろうとしてきた――が、通りすがりの治安維持隊員にその拳を止められる。
――ナイスタイミング!
「何をしているのですか?」
「は、離せっ」
「暴力をふるう者は拘束しますよ」
「こっちの事情だ! 勝手にさせろ!」
「いえ、そうはいきません。我々は一般人に暴力を向ける者を放ってはおけないのです」
モリースは拘束された。
彼にとっては不幸だった、治安維持隊員が通りかかったことは。でもそれとは逆に私にとってはそれは幸運なことだった。もし隊員が通りかかっていなかったとしたら私はきっと殴られていただろう。もしかしたらそれ以上のこともされていたかもしれない。
やはり地域パトロールは大事だ。
◆
あれから数年、私は今も蜂蜜販売で大成功を収めている。
ここに至るまでいろんな試行錯誤を繰り返して。
より良い商品を開発するなど飽きられないようにするための努力を続けている。
また、全力で働く中で、良きパートナーにも巡り会えた。
彼はとても善良な人。
日々仕事で忙しい私を熱心に支えてくれる。
この仕事に関して理解があるし、もちろん否定的なことを言ってくることもない――いつだってまるで親であるかのように温かく見守ってくれている彼のことが大好きだ。
ちなみにモリースはというと、結婚相手を探すも理想に叶う女性を見つけることがなかなかできずそのうちに友人らがどんどん結婚していってしまってかなり焦り半分心を病んだような状態になってしまっているそうだ。
ここのところの彼は女性の話をするだけでピリピリした空気を発したり捨て台詞を吐いたりするのだとか。
どうやら精神的にかなり追い込まれているようだ。
◆終わり◆
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