はりきって作ったアップルケーキ、婚約者には受け取ってもらえませんでしたが、新たな出会いはありました。

四季

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1話

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「できた!」

 ――そう、私の趣味はお菓子作り。

 今、ちょうど、アップルケーキが完成したところだ。
 これはかなりの力作。
 成功させるまで十回以上練習しなくてはならなかった。

 でもこれは完璧な仕上がり!

 ちなみにこれは婚約者レベルファイの誕生日プレゼントの一個にする予定だ。

 喜んでくれるかなぁ、と思いながら、選び抜いた綺麗な紙で包んでみる――色々想像できるからこういうのはとても楽しい。

 そして渡しに行くことに。

 ああ、どんな風な顔をしてもらえるだろう……!


 ◆


「え……」

 アップルケーキと他の誕生日プレゼントを同時に持ってレベルファイのところへ行ってみたのだが、そこで私は見てしまった――彼が知らない女性と二人きりでいちゃついているところを。

「今日はレベルファイの誕生日だからぁ、張りきってご奉仕しちゃうわねぇ~」
「はは、嬉しいよ」
「どこからいこうかしらぁ」
「お任せコースで」
「任せてぇ~、マッサージしてあげちゃうわぁ~。気合い入れていくわよぉ?」
「お願いしますー」
「うっふん! いくわよ!」

 それを見てしまった時、涙が溢れそうになった。

 でも、もしかしたら仕事の人かもしれないと思い、自分を支えてその部屋に入ってみる。

「レベルファイさん、あの、これは一体……」

 すると彼は、見たことがないくらい冷ややかな顔をして、はーと長い溜め息をつく。

「あのさぁ、今入ってくるなって。そんなことも分からんの? 馬鹿じゃねえの」

 レベルファイの口から出たのは心ない言葉。

「あ、あの、すみません……ただ、お誕生日だからと……プレゼントを持ってきたのですが……」
「だ! か! ら! 今取り込み中なんだよ、見れば分かるだろ? 入ってくんな!」
「え、えと、そちらの女性は……?」
「もういい、この際言ってやる。彼女はな! ただ一人俺が愛している女性なんだよ!」
「え……」

 涙が溢れそうだった。
 でも何とか耐えた。
 ここで泣いたら情けなすぎる。

「お前みたいなのとは違う奉仕が得意で優しい女神のような女性だ!」
「えええー……」
「何だその反応、うっぜ。あ、そうだ。閃いた。じゃ、お前との婚約は破棄するわ。婚約破棄!!」

 すべてが崩れ落ちてゆくみたいだった。

 何もかもすべてが……。
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