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前編
しおりを挟む「この子は将来偉大な乙女へと成長しますよ」
私が生まれた日、両親が懇意にしていた占い師はそう言ったという。
そんなだから期待されて育った私。しかし特別何かの才能があったわけではなくて。期待を一身に受けて育ってもなお、私は平凡な女でしかなかった。
両親はそんな私を良く思っておらず、直接言ってはこないものの裏ではよく愚痴を言っていたようだ。
――あまり信じられないな。
それが正直なところであった。
だが、ある晩、人生が変わるような出来事が起こる。
その日婚約者エーゲの浮気相手である女性リリが私のところへやって来てとんでもない言葉をやたらとかけてきていたのだが、その最中彼女は倒れた。そして還らぬ人となってしまって。その結果エーゲは「私がリリを殺した」と思い込んでしまい。
「貴様! 絶対に許さん! 婚約は破棄だッ……人殺しめ、何があっても絶対に許さんぞぉぉぉぉ!」
婚約破棄を宣言されたうえ、彼の中で人殺し認定されてしまった。
幸い証拠不十分で逮捕はされなかったのだが、それに不満を抱いたエーゲは散々私の嘘の悪口を言いふらして――それによって私は皆から冷ややかな目を向けられることとなってしまう。
そんな状況はとてつもなく辛く、そのため、私は衝動的に死を選ぼうとした。
――だが私は死ねなかった。
崖から飛び降りた私は、何が起きたのか分からないが命を拾った。死のうとしてもなお死ねなかったのだ。そしてさらに、その一件によって、私はとんでもない力を手に入れてしまった。国内でも一割くらいの人しか持たない魔法の才を手に入れたのだ。それも、最上級の魔法の才。これに関しては国内で数名しか持っていない程度の力である。
以降、私は称賛の的となった。
皆が私を見る目が大幅に変わった。
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