「この子は将来偉大な乙女へと成長しますよ」私が生まれた日、両親が懇意にしていた占い師はそう言ったそうなのですが……?

四季

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後編

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「あのお方よ! いらっしゃったわ!」
「凄い……風格が違うわね……」
「最上級魔法の才をお持ちなのだとか……あぁ素晴らしいお方ね、もはや神様みたいなものだわ」

 私は王家に雇われる魔法使いとなった。
 それによって扱われ方も大きく変わった。

「ああ、やはり、貴女は偉大な乙女になったわね……! あの占い師の言葉は嘘ではなかったのだわ……! ごめんなさいね、貴女の才能を疑って」
「凄いぞ! さすがは我が娘、偉大だぞ! いやはや、まさか、ここまでの才能を秘めていたとはなぁ。すまなかったなこれまで、色々愚痴を言って悪かった」

 私の地位が大幅に上昇したことによって、両親からの対応も大幅に改善した。

 ……そうよ、私にはもう称賛の光しかない。

 誰も見下してはこない。
 誰も傷つけてはこない。

 平凡な女だった私は、平凡からほど遠い女へと変わった。

 まるで生まれ変わったかのように。

 そして心もまた変化した。
 これからは国のため人々のために魔法を使って生きてゆこうと思う。


 ◆


 私は王子と結婚した。
 今では高貴な彼の妻である。

 いずれ国王となってゆく彼の隣で国のために生きたい、そういう思いがあったからこそ彼からプロポーズされた時にそれを受け入れたのだ。

 国のために生きてゆくなら王子の妻という立場に収まるのも悪くはない――そう考え、今に至っている。

 私はここで人々のために生きてゆこう。
 それがに私にとっての幸福でもあるのだから。

 ――ちなみにエーゲはというと、あの後婚約した女性のことを詐欺師だと嘘を言って金を取ろうとして反撃されてしまい逆に名誉棄損で償いの金を支払わされることとなってしまったようだ。

 なんと愚かなことだろう、嘘で他人を貶めようとするなんて。

 ……痛い目に遭って少しは学んだだろうか?


◆終わり◆
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