62 / 207
episode.61 約束します、会いに行くと
しおりを挟む
その後も、トランの裏切りに憤怒し、彼に対する恨み言を吐き続けたグラネイトだったが、五六分経った時、突然真顔に戻った。
「ということで、だな……」
直前まで強い怒りを露わにしていた彼が急に大人しい表情になったので、少し戸惑う。
「グラネイト様は身を引く!」
「えぇ!?」
驚きのあまり、思わず大きな声を出してしまった。
「なぜ驚く? 喜ぶべきことだろう!」
確かに、リゴールの命を狙う敵が減るというのはありがたいことだ。たとえ彼一人が来なくなるだけだとしても、襲われる回数は確実に減少するわけだから、それはとても良いこと。感謝すべきことと言えるだろう。
「そ、それはそうだけど……」
「まだ何かあると言うのか!?」
「いえ。けど、そんなことをしたら、貴方は裏切り者になるわよ。それでも良いの?」
ブラックスターを捨てるなら、彼もまた、険しい道を行くこととなるだろう。裏切り者と呼ばれ、蔑まれ、憎まれもするだろう。
……デスタンがそうであったように。
「ふはは! そういうことか!」
直後、グラネイトは急に、一人で大笑いを始める。
「心配無用! そこまで弱いグラネイト様ではない! ……だが。恋はまだ諦めん!」
え。こ、恋? いや、いきなりそんなことを言われても、反応に困るのだが。
そんな風に戸惑っているうちに、彼は姿を消した。
「何だったの……」
呟かずにはいられなかった。
一人部屋に残され、さらに驚くべき急展開の連続。そんな状況下では、落ち着き払っていられる者の方が少ないだろう。
それからの一週間は穏やかそのものだった。
リゴールの背中の傷は順調に回復。先日の件があったからか自ら進んで外出することはなかったが、この一週間で、足取りもかなりしっかりしてきた。
一方デスタンはというと、リゴールを傷つけた罪悪感が少しずつながら和らいできたのか、元々の彼らしい振る舞いに戻りつつある様子だ。冷淡ながら、時折優しさを覗かせる——そんなデスタンに戻っていっている。
そんな中、私の母親エトーリアの屋敷へ移動する計画が、徐々に進んでいった。
リゴールは提案した当初から賛成してくれていて。けれど、デスタンは乗り気ではないようだった。
が、時の経過と共に、少しずつ心が動いてきたようで。
徐々にではあるが、デスタンも、エトーリアの家へ移っても良いかもしれないと考えてくれるようになってきた。
彼はその理由として「ミセが被害を被ることを避けるため」と話したが、「彼女のことを考えるのは、愛しているからではなく、世話になってきた恩人だから」と、わざわざ付け加えていた。
それを付け加える必要があったのか? はともかく。
デスタンの心が動いてきたのは嬉しい兆候だ。なぜなら、彼の賛成無しに移動はできないからである。
そして、それからさらに一週間が過ぎた朝。
私たちはついに出立の日を迎えた。
ほんの少しだけの荷物をまとめた私は、玄関先で、リゴールと共に礼を述べる。
「「これまで本当にありがとうございました、ミセさん」」
私とリゴールがミセに向かって感謝の言葉を放ったのは、ほぼ同時だった。
続けて、デスタンが口を動かす。
「長らくお世話になりました」
表情は柔らかく、しかしながら淡々とした口調で、デスタンは礼を述べた。そんな彼に、ミセは駆け寄る。
「デスタン……本当に行ってしまうのぅ……?」
ミセはデスタンの背に両腕を回し、彼を強く抱き締めた。デスタンは、いきなりの彼女の行動に戸惑っているようで、眉頭を微かに震わせている。
「アタシ寂しいわぁ。毎晩デスタンに会えなくなるなんてぇ……」
「また会いにきます」
デスタンは、顔面には動揺の色を浮かべている。だが、それとは対照的に、言葉の発し方は落ち着いていた。完全に冷静さを欠いている、ということはないようである。
「や、や、約束よぅ……? 絶対に……またアタシに……あっ、会いにっ……」
ミセは声を震わせる。
その瞳には、涙の粒が浮かんでいた。
それを見て私は、彼女がデスタンを心から愛していたのだと、改めて理解した。デスタンの心が変わらずとも、ミセは彼を愛することを止めなかったのだと。
「だからっ……どうか……」
「約束します。会いに行くと」
そう言って、デスタンは、泣きじゃくる彼女の額にそっと口づけた。
デスタンの唐突な行動に、ミセは戸惑ったような顔をする。が、デスタンは何事もなかったかのように静かに微笑み、「本当に、お世話になりました」と、短く感謝の意を述べた。
これまで彼がミセに向けていた笑みは、目的のための作られたもの。ミセはあまり気づいてはいないようだったけれど、純粋な笑みではなかった。
——だが。
ただ、この時だけは、デスタンの笑みは本物であるように思えて。
ミセとデスタンが、初めて、真に見つめ合った瞬間。
それはこの時だったのかもしれないと、私は密かにそう思う。
用意されていた馬車へ乗り込み、ミセの家がある高台から離れていく。
車内は狭い。向かい合わせに突き出した板のような座席に三人で座ると、物を置くスペースは僅かしかない。
ちなみに三人の座り方はというと。
進行方向を向くように座っているのが私とリゴールで、リゴールと向かい合う位置がデスタンだ。
「その……デスタン」
馬車が走り出してからというもの、誰も言葉を発さなかったのだが、その沈黙を最初に破ったのはリゴールだった。
彼は顔色を窺うような表情をしながらデスタンに話しかける。
「無理を言って……申し訳ありません」
「何がでしょうか」
リゴールに謝られたデスタンは、困惑したように返す。なぜ謝罪されているのか分からない、というような顔をしている。
「ミセさんと無理に引き離すような形になってしまったので……申し訳ないことをしてしまったと思いまして……」
弱々しい声で謝罪の理由を説明しつつ、元々小さく細い体をさらに縮めるリゴール。怯える小動物のように振る舞う彼は、王子だった人物だとはとても思えない。
「……そんなことですか」
「そんなこと!? 重要なことではありませんか!?」
「勘違いなさらないで下さい、王子。私と彼女の間に、そのような絆はありません」
揺られながら、デスタンは淡々と述べる。
「私は彼女を利用していただけ。それは最後まで変わりませんでした」
一切躊躇いなく「利用していた」と発したデスタンに、リゴールは小さく問う。
「……本当に、そうなのですか?」
リゴールの青い瞳は、少しもぶれることなく、デスタンの顔をじっと捉えている。
「わたくしには、そうは見えませんでしたが……」
「王子は、私がミセに特別な感情を抱いていると仰るのですか? 馬鹿な。あり得ません」
何をどう言おうと、デスタンは認めないかもしれない。けれど、今は、私もリゴールの意見に賛成。リゴールの見ているものと同じものを、私も見ていたように思う。
「ということで、だな……」
直前まで強い怒りを露わにしていた彼が急に大人しい表情になったので、少し戸惑う。
「グラネイト様は身を引く!」
「えぇ!?」
驚きのあまり、思わず大きな声を出してしまった。
「なぜ驚く? 喜ぶべきことだろう!」
確かに、リゴールの命を狙う敵が減るというのはありがたいことだ。たとえ彼一人が来なくなるだけだとしても、襲われる回数は確実に減少するわけだから、それはとても良いこと。感謝すべきことと言えるだろう。
「そ、それはそうだけど……」
「まだ何かあると言うのか!?」
「いえ。けど、そんなことをしたら、貴方は裏切り者になるわよ。それでも良いの?」
ブラックスターを捨てるなら、彼もまた、険しい道を行くこととなるだろう。裏切り者と呼ばれ、蔑まれ、憎まれもするだろう。
……デスタンがそうであったように。
「ふはは! そういうことか!」
直後、グラネイトは急に、一人で大笑いを始める。
「心配無用! そこまで弱いグラネイト様ではない! ……だが。恋はまだ諦めん!」
え。こ、恋? いや、いきなりそんなことを言われても、反応に困るのだが。
そんな風に戸惑っているうちに、彼は姿を消した。
「何だったの……」
呟かずにはいられなかった。
一人部屋に残され、さらに驚くべき急展開の連続。そんな状況下では、落ち着き払っていられる者の方が少ないだろう。
それからの一週間は穏やかそのものだった。
リゴールの背中の傷は順調に回復。先日の件があったからか自ら進んで外出することはなかったが、この一週間で、足取りもかなりしっかりしてきた。
一方デスタンはというと、リゴールを傷つけた罪悪感が少しずつながら和らいできたのか、元々の彼らしい振る舞いに戻りつつある様子だ。冷淡ながら、時折優しさを覗かせる——そんなデスタンに戻っていっている。
そんな中、私の母親エトーリアの屋敷へ移動する計画が、徐々に進んでいった。
リゴールは提案した当初から賛成してくれていて。けれど、デスタンは乗り気ではないようだった。
が、時の経過と共に、少しずつ心が動いてきたようで。
徐々にではあるが、デスタンも、エトーリアの家へ移っても良いかもしれないと考えてくれるようになってきた。
彼はその理由として「ミセが被害を被ることを避けるため」と話したが、「彼女のことを考えるのは、愛しているからではなく、世話になってきた恩人だから」と、わざわざ付け加えていた。
それを付け加える必要があったのか? はともかく。
デスタンの心が動いてきたのは嬉しい兆候だ。なぜなら、彼の賛成無しに移動はできないからである。
そして、それからさらに一週間が過ぎた朝。
私たちはついに出立の日を迎えた。
ほんの少しだけの荷物をまとめた私は、玄関先で、リゴールと共に礼を述べる。
「「これまで本当にありがとうございました、ミセさん」」
私とリゴールがミセに向かって感謝の言葉を放ったのは、ほぼ同時だった。
続けて、デスタンが口を動かす。
「長らくお世話になりました」
表情は柔らかく、しかしながら淡々とした口調で、デスタンは礼を述べた。そんな彼に、ミセは駆け寄る。
「デスタン……本当に行ってしまうのぅ……?」
ミセはデスタンの背に両腕を回し、彼を強く抱き締めた。デスタンは、いきなりの彼女の行動に戸惑っているようで、眉頭を微かに震わせている。
「アタシ寂しいわぁ。毎晩デスタンに会えなくなるなんてぇ……」
「また会いにきます」
デスタンは、顔面には動揺の色を浮かべている。だが、それとは対照的に、言葉の発し方は落ち着いていた。完全に冷静さを欠いている、ということはないようである。
「や、や、約束よぅ……? 絶対に……またアタシに……あっ、会いにっ……」
ミセは声を震わせる。
その瞳には、涙の粒が浮かんでいた。
それを見て私は、彼女がデスタンを心から愛していたのだと、改めて理解した。デスタンの心が変わらずとも、ミセは彼を愛することを止めなかったのだと。
「だからっ……どうか……」
「約束します。会いに行くと」
そう言って、デスタンは、泣きじゃくる彼女の額にそっと口づけた。
デスタンの唐突な行動に、ミセは戸惑ったような顔をする。が、デスタンは何事もなかったかのように静かに微笑み、「本当に、お世話になりました」と、短く感謝の意を述べた。
これまで彼がミセに向けていた笑みは、目的のための作られたもの。ミセはあまり気づいてはいないようだったけれど、純粋な笑みではなかった。
——だが。
ただ、この時だけは、デスタンの笑みは本物であるように思えて。
ミセとデスタンが、初めて、真に見つめ合った瞬間。
それはこの時だったのかもしれないと、私は密かにそう思う。
用意されていた馬車へ乗り込み、ミセの家がある高台から離れていく。
車内は狭い。向かい合わせに突き出した板のような座席に三人で座ると、物を置くスペースは僅かしかない。
ちなみに三人の座り方はというと。
進行方向を向くように座っているのが私とリゴールで、リゴールと向かい合う位置がデスタンだ。
「その……デスタン」
馬車が走り出してからというもの、誰も言葉を発さなかったのだが、その沈黙を最初に破ったのはリゴールだった。
彼は顔色を窺うような表情をしながらデスタンに話しかける。
「無理を言って……申し訳ありません」
「何がでしょうか」
リゴールに謝られたデスタンは、困惑したように返す。なぜ謝罪されているのか分からない、というような顔をしている。
「ミセさんと無理に引き離すような形になってしまったので……申し訳ないことをしてしまったと思いまして……」
弱々しい声で謝罪の理由を説明しつつ、元々小さく細い体をさらに縮めるリゴール。怯える小動物のように振る舞う彼は、王子だった人物だとはとても思えない。
「……そんなことですか」
「そんなこと!? 重要なことではありませんか!?」
「勘違いなさらないで下さい、王子。私と彼女の間に、そのような絆はありません」
揺られながら、デスタンは淡々と述べる。
「私は彼女を利用していただけ。それは最後まで変わりませんでした」
一切躊躇いなく「利用していた」と発したデスタンに、リゴールは小さく問う。
「……本当に、そうなのですか?」
リゴールの青い瞳は、少しもぶれることなく、デスタンの顔をじっと捉えている。
「わたくしには、そうは見えませんでしたが……」
「王子は、私がミセに特別な感情を抱いていると仰るのですか? 馬鹿な。あり得ません」
何をどう言おうと、デスタンは認めないかもしれない。けれど、今は、私もリゴールの意見に賛成。リゴールの見ているものと同じものを、私も見ていたように思う。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】
ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る――
※他サイトでも投稿中
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
【コミカライズ決定】魔力ゼロの子爵令嬢は王太子殿下のキス係
ayame@アンジェリカ書籍化決定
恋愛
【ネトコン12受賞&コミカライズ決定です!】私、ユーファミア・リブレは、魔力が溢れるこの世界で、子爵家という貴族の一員でありながら魔力を持たずに生まれた。平民でも貴族でも、程度の差はあれど、誰もが有しているはずの魔力がゼロ。けれど優しい両親と歳の離れた後継ぎの弟に囲まれ、贅沢ではないものの、それなりに幸せな暮らしを送っていた。そんなささやかな生活も、12歳のとき父が災害に巻き込まれて亡くなったことで一変する。領地を復興させるにも先立つものがなく、没落を覚悟したそのとき、王家から思わぬ打診を受けた。高すぎる魔力のせいで身体に異常をきたしているカーティス王太子殿下の治療に協力してほしいというものだ。魔力ゼロの自分は役立たずでこのまま穀潰し生活を送るか修道院にでも入るしかない立場。家族と領民を守れるならと申し出を受け、王宮に伺候した私。そして告げられた仕事内容は、カーティス王太子殿下の体内で暴走する魔力をキスを通して吸収する役目だったーーー。_______________
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる