140 / 207
episode.138 過度な触れ合いは、お断りします
しおりを挟む
「デスタンの周り、本当に色々あるのねぇ」
「はい」
「凄いわぁ。やっぱり美男子には陰があるのねぇ」
「陰しかありません」
ミセは甘い声を発しながら、すぐ隣に座っているデスタンの片腕に、腕を絡める。また、体も密着させている。
二人の時にいちゃつくのならば自由。
それは二人の問題だから、デスタン本人が拒否しない限り、親しくするのは勝手だろう。
だが、今は二人きりではない。目の前に私がいるのだ。知り合いとはいえ第三者がいる時は、もう少し遠慮がちに振る舞えないものなのだろうか。
心の中にて愚痴を漏らしていると、ミセがちらりとこちらを見てきた。
「あーら。羨ましいのかしらぁ?」
挑発的な目つきと言い方だ。
私を悔しがらせたいのだろうが、そうはいかない。操り人形みたく、思い通りになってたまるものか。
ミセの意のままになってたまるか、と、私は苦笑で流す。
「人の前では止めた方が良いと思います。ミセさん」
淡々とした注意を放つデスタン。
しかしミセは離れない。
それどころか、より一層、デスタンに接近していっている。
「デスタンったらぁ、冷たぁーい! もっと仲良くしてちょうだぁーい!」
「嫌です」
「酷ぉーい。もっと優しくしてぇー」
ミセは両手をデスタンの胴体に絡め、優しく抱き締める。また、デスタンの肩の辺りに頬を当て、すりすりする。
……これは一体、何を見せられているのだろう。
ミセの方からの一方通行とはいえ、いちゃついている光景を見せられ続けるというのは、何とも言えない気分。私は、どのように反応すれば分からず、その妙な光景をただぼんやりと見つめ続けることしかできない。
「過度な触れ合いは、お断りします」
デスタンは凛とした態度で触れ合いを拒む。が、その程度であっさり止めるミセではない。
「……仲良しね」
異様に近い距離の二人を眺めていたら、半ば無意識のうちに漏らしてしまっていた。
漏らしてしまった言葉に素早く反応したのはミセ。彼女は、デスタンに体をぴたりとくっつけたまま、妙に嬉しそうな顔でこちらへ視線を向けてくる。
何も競っていないのに、彼女は勝ち誇ったような顔をしていた。
「いえ、仲良しではありません。世話になった恩があるため無理矢理引き離せないだけです」
本当にそうだろうか?
少し、疑問がある。
デスタンのようにはっきりした性格の者なら、本当に嫌なら、無理矢理であっても逃れようとするのではないだろうか。
「……本当に?」
こんなことを言ったら、デスタンの言葉を疑っているかのようで、彼に対して失礼になってしまうかもしれないけれど。
「当然です。私に何を期待しているのですか」
「いいえ。そうね……何度も聞いて、ごめんなさい」
念のため謝罪しておくと、デスタンは素っ気なく「いえ」と返してきた。それから「ではこの辺りで、失礼します」と述べる。すると、その言葉を合図にするようにして、ミセがデスタンに手を差し伸べる。
「立つのねぇ?」
「はい」
デスタンは、ミセの手や腕の力を借りつつ、徐々に腰を上げていく。
十数秒ほどかけて起立した。
ミセの行動はいつだって少し過激で。目を逸らしたくなるような時もあるし、控えるよう注意したくなるような時もある。
けれど、彼女のデスタンを想う心は強いもの。
彼女の愛は、広く深い海のようだ。
「では、これにて失礼します」
「もういいの?」
「はい。悪質な術や体調不良ではないようでしたから」
悪質な術、て。
そんなものがかかっていたら怖すぎる。
「心配かけてごめんなさい」
「いえ。それは王子に言って下さい」
「う……相変わらずね」
私は言葉を詰まらせてしまう。
すれ違いざまにいきなり殴られたような気分だ。
「でも、気にかけてくれてありがとう」
「いえ。私は何もしていません」
「そんなことないわ。わざわざ部屋まで来てくれたじゃない」
するとデスタンは、呆れたように目を逸らす。
「……運動がてらです」
その発言が、本当のことなのか、あるいは恥ずかしさを隠すための偽りなのかまでは、はっきりとは分からないけれど。
「そう! ……でも、そうね。運動は大切よね!」
「なぜ急に明るい顔になったのです?」
言われてみれば、そうかもしれない。確かに、私は今、一瞬明るい気持ちになったような気がする。なぜだろう、理由は思いつけないけれど。
「ごめんなさい、分からないわ」
「そうですか。……ま、そうでしょうね。お気になさらず」
秋風のように言い切り、デスタンは私の部屋から出ていった。もちろん、ミセに支えてもらいながら。
彼が動けなくなった時、一時はどうなることかと思ったけれど、多少は回復してきたようで良かった。戦えるまで元通りにはならずとも、日常生活くらいは行えるようになった方が良いだろう。リゴールもきっと、回復を望んでいるはずだ。
私はデスタンが徐々に動けるようになってきたことに安堵しつつ、扉を閉める。それから十歩ほど移動し、ベッドの上に寝転んだ。背中に柔軟な感覚。ただ、首もとにだけ違和感を覚えてしまう。その原因に気づくのに、四五秒かかってしまった。ちなみに、原因とは、首にかけていたペンダントの紐部分である。
ペンダントを首から外し、体のすぐ傍にそっと置く。
これで違和感は消え去るはず。
それから私は、意味もなく天井を見上げる。しかしすぐに飽きてしまって。今度はそっと瞼を閉じた。
——その時。
扉の方で、ガタンと大きな音が鳴った。
私は飛び起きる。
何かが倒れただけかもしれない。誰かが物を落としたりしただけかもしれない。
けど、どうしても気になって。
だから私は、ペンダントを再び首にかけて、扉の方へ向かった。
「何の音!?」
扉を開け、廊下へ出て——愕然とする。
「……トラン」
そこに立っていたのは、トラン。
青みを帯びた髪の中性的な少年。
そして、どのようにして侵入してきたのか分からぬ彼と対峙しているのは、デスタンとミセ。
「やぁ、君もいたんだね」
トランはうっすら笑みを浮かべつつ、そんなことを言う。
「どうして貴方がここにいるの」
「やだなぁ。そんな怖い顔しないでよ」
いや、この状況でニコニコしているなんて普通不可能だろう。
「ボクは、外で偶然会った人から鍵を借りて、訪問しただけ」
「それは侵入と言うのではないの!?」
「違う違う。ただ、少ーし、お邪魔しただけだよー」
トランの発言はどれも理解不能。
「……それで、何の用なの?」
「ボクが会いに来たのは君じゃなくて、そっちだよ」
私の問いに静かに答え、片手で指差すトラン。彼の人差し指が示しているのは私ではなく——私より彼に近い位置にいる、デスタンだった。
「はい」
「凄いわぁ。やっぱり美男子には陰があるのねぇ」
「陰しかありません」
ミセは甘い声を発しながら、すぐ隣に座っているデスタンの片腕に、腕を絡める。また、体も密着させている。
二人の時にいちゃつくのならば自由。
それは二人の問題だから、デスタン本人が拒否しない限り、親しくするのは勝手だろう。
だが、今は二人きりではない。目の前に私がいるのだ。知り合いとはいえ第三者がいる時は、もう少し遠慮がちに振る舞えないものなのだろうか。
心の中にて愚痴を漏らしていると、ミセがちらりとこちらを見てきた。
「あーら。羨ましいのかしらぁ?」
挑発的な目つきと言い方だ。
私を悔しがらせたいのだろうが、そうはいかない。操り人形みたく、思い通りになってたまるものか。
ミセの意のままになってたまるか、と、私は苦笑で流す。
「人の前では止めた方が良いと思います。ミセさん」
淡々とした注意を放つデスタン。
しかしミセは離れない。
それどころか、より一層、デスタンに接近していっている。
「デスタンったらぁ、冷たぁーい! もっと仲良くしてちょうだぁーい!」
「嫌です」
「酷ぉーい。もっと優しくしてぇー」
ミセは両手をデスタンの胴体に絡め、優しく抱き締める。また、デスタンの肩の辺りに頬を当て、すりすりする。
……これは一体、何を見せられているのだろう。
ミセの方からの一方通行とはいえ、いちゃついている光景を見せられ続けるというのは、何とも言えない気分。私は、どのように反応すれば分からず、その妙な光景をただぼんやりと見つめ続けることしかできない。
「過度な触れ合いは、お断りします」
デスタンは凛とした態度で触れ合いを拒む。が、その程度であっさり止めるミセではない。
「……仲良しね」
異様に近い距離の二人を眺めていたら、半ば無意識のうちに漏らしてしまっていた。
漏らしてしまった言葉に素早く反応したのはミセ。彼女は、デスタンに体をぴたりとくっつけたまま、妙に嬉しそうな顔でこちらへ視線を向けてくる。
何も競っていないのに、彼女は勝ち誇ったような顔をしていた。
「いえ、仲良しではありません。世話になった恩があるため無理矢理引き離せないだけです」
本当にそうだろうか?
少し、疑問がある。
デスタンのようにはっきりした性格の者なら、本当に嫌なら、無理矢理であっても逃れようとするのではないだろうか。
「……本当に?」
こんなことを言ったら、デスタンの言葉を疑っているかのようで、彼に対して失礼になってしまうかもしれないけれど。
「当然です。私に何を期待しているのですか」
「いいえ。そうね……何度も聞いて、ごめんなさい」
念のため謝罪しておくと、デスタンは素っ気なく「いえ」と返してきた。それから「ではこの辺りで、失礼します」と述べる。すると、その言葉を合図にするようにして、ミセがデスタンに手を差し伸べる。
「立つのねぇ?」
「はい」
デスタンは、ミセの手や腕の力を借りつつ、徐々に腰を上げていく。
十数秒ほどかけて起立した。
ミセの行動はいつだって少し過激で。目を逸らしたくなるような時もあるし、控えるよう注意したくなるような時もある。
けれど、彼女のデスタンを想う心は強いもの。
彼女の愛は、広く深い海のようだ。
「では、これにて失礼します」
「もういいの?」
「はい。悪質な術や体調不良ではないようでしたから」
悪質な術、て。
そんなものがかかっていたら怖すぎる。
「心配かけてごめんなさい」
「いえ。それは王子に言って下さい」
「う……相変わらずね」
私は言葉を詰まらせてしまう。
すれ違いざまにいきなり殴られたような気分だ。
「でも、気にかけてくれてありがとう」
「いえ。私は何もしていません」
「そんなことないわ。わざわざ部屋まで来てくれたじゃない」
するとデスタンは、呆れたように目を逸らす。
「……運動がてらです」
その発言が、本当のことなのか、あるいは恥ずかしさを隠すための偽りなのかまでは、はっきりとは分からないけれど。
「そう! ……でも、そうね。運動は大切よね!」
「なぜ急に明るい顔になったのです?」
言われてみれば、そうかもしれない。確かに、私は今、一瞬明るい気持ちになったような気がする。なぜだろう、理由は思いつけないけれど。
「ごめんなさい、分からないわ」
「そうですか。……ま、そうでしょうね。お気になさらず」
秋風のように言い切り、デスタンは私の部屋から出ていった。もちろん、ミセに支えてもらいながら。
彼が動けなくなった時、一時はどうなることかと思ったけれど、多少は回復してきたようで良かった。戦えるまで元通りにはならずとも、日常生活くらいは行えるようになった方が良いだろう。リゴールもきっと、回復を望んでいるはずだ。
私はデスタンが徐々に動けるようになってきたことに安堵しつつ、扉を閉める。それから十歩ほど移動し、ベッドの上に寝転んだ。背中に柔軟な感覚。ただ、首もとにだけ違和感を覚えてしまう。その原因に気づくのに、四五秒かかってしまった。ちなみに、原因とは、首にかけていたペンダントの紐部分である。
ペンダントを首から外し、体のすぐ傍にそっと置く。
これで違和感は消え去るはず。
それから私は、意味もなく天井を見上げる。しかしすぐに飽きてしまって。今度はそっと瞼を閉じた。
——その時。
扉の方で、ガタンと大きな音が鳴った。
私は飛び起きる。
何かが倒れただけかもしれない。誰かが物を落としたりしただけかもしれない。
けど、どうしても気になって。
だから私は、ペンダントを再び首にかけて、扉の方へ向かった。
「何の音!?」
扉を開け、廊下へ出て——愕然とする。
「……トラン」
そこに立っていたのは、トラン。
青みを帯びた髪の中性的な少年。
そして、どのようにして侵入してきたのか分からぬ彼と対峙しているのは、デスタンとミセ。
「やぁ、君もいたんだね」
トランはうっすら笑みを浮かべつつ、そんなことを言う。
「どうして貴方がここにいるの」
「やだなぁ。そんな怖い顔しないでよ」
いや、この状況でニコニコしているなんて普通不可能だろう。
「ボクは、外で偶然会った人から鍵を借りて、訪問しただけ」
「それは侵入と言うのではないの!?」
「違う違う。ただ、少ーし、お邪魔しただけだよー」
トランの発言はどれも理解不能。
「……それで、何の用なの?」
「ボクが会いに来たのは君じゃなくて、そっちだよ」
私の問いに静かに答え、片手で指差すトラン。彼の人差し指が示しているのは私ではなく——私より彼に近い位置にいる、デスタンだった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【え? これってまさか私のこと?】
ソフィア・ヴァイロンは貧しい子爵家の令嬢だった。町の小さな雑貨店で働き、常連の男性客に密かに恋心を抱いていたある日のこと。父親から借金返済の為に結婚話を持ち掛けられる。断ることが出来ず、諦めて見合いをしようとした矢先、別の相手から結婚を申し込まれた。その相手こそ彼女が密かに思いを寄せていた青年だった。そこでソフィアは喜んで受け入れたのだが、望んでいたような結婚生活では無かった。そんなある日、「君への気持ちが冷めたと」と夫から告げられる。ショックを受けたソフィアは家出をして行方をくらませたのだが、夫から懸賞金を掛けられていたことを知る――
※他サイトでも投稿中
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
【コミカライズ決定】魔力ゼロの子爵令嬢は王太子殿下のキス係
ayame@アンジェリカ書籍化決定
恋愛
【ネトコン12受賞&コミカライズ決定です!】私、ユーファミア・リブレは、魔力が溢れるこの世界で、子爵家という貴族の一員でありながら魔力を持たずに生まれた。平民でも貴族でも、程度の差はあれど、誰もが有しているはずの魔力がゼロ。けれど優しい両親と歳の離れた後継ぎの弟に囲まれ、贅沢ではないものの、それなりに幸せな暮らしを送っていた。そんなささやかな生活も、12歳のとき父が災害に巻き込まれて亡くなったことで一変する。領地を復興させるにも先立つものがなく、没落を覚悟したそのとき、王家から思わぬ打診を受けた。高すぎる魔力のせいで身体に異常をきたしているカーティス王太子殿下の治療に協力してほしいというものだ。魔力ゼロの自分は役立たずでこのまま穀潰し生活を送るか修道院にでも入るしかない立場。家族と領民を守れるならと申し出を受け、王宮に伺候した私。そして告げられた仕事内容は、カーティス王太子殿下の体内で暴走する魔力をキスを通して吸収する役目だったーーー。_______________
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる