自己中心的なことばかり言ううえに勝手なことをするので、婚約破棄させていただくことにしました

四季

文字の大きさ
3 / 3

後編

しおりを挟む
「事実……なのですか」

 使用人の女性は目をパチパチさせながら口を動かす。

「はい。シーツの汚れ見ます?」
「いえ! 結構です! ……しかし、それはかなり問題ですね。大問題ですよぅ?」
「ですよね、分かっていただけてありがたいです」
「しかしそんなことって……今まで気づけず申し訳ありません」
「貴女は悪くありません。気になさらないでください」

 使用人の女性に罪はない。彼女にガイエルの監視を任せていたわけではないから。見張っておいてくれ、と頼んでいたわけでもないし。だから、本当に、彼女には罪はない。

 悪いのは勝手なことをした人間。
 周囲の人間が一番悪い、というわけではない。

 その後、私はガイエルの両親のところへ行き、このことを相談した。証拠品の汚れたシーツがあったから信じてもらうことには苦労しなかった。二人もこの行為のことは知らなかったそうだ。

 驚き戸惑っている二人に、私は「婚約破棄したい」と告げる。
 それによって二人はさらに狼狽えた。
 また、私は、これまでの被害をすべて明かした。少し何か言ったら怒って騒ぎ出すことや乱暴な言葉遣いをすること、他にも、私だけに自由な交友を許さないことなども。とにかく、彼に関する不愉快な事象を、すべて明かした。

「申し訳ありませんが、こういうこともありますので、婚約破棄を考えています。手続きは今から進めていく予定ですので、ご協力よろしくお願い致します」


 ◆


 婚約破棄の手続きを進める。

 時間はかかったが、無事完了した。

 ガイエルには慰謝料の支払いが命ぜられた。直後はかなり渋っていたようだが、支払いの指示を無視することはできず。数ヶ月後、ガイエルは渋々慰謝料を支払った。彼の貯金と親のお金から支払ったようだった。

 私と彼の縁は切れた。
 比較的スムーズに話が進んだので助かった。

 後に知人伝いに聞いた話によると、あの後ガイエルは両親から勘当を言い渡されたらしい。叱ってもろくに聞かず、何事もなかったかのように女遊びしている。そんな息子に呆れ、親の方から縁切りを申し出たそうだ。

 その後もガイエルは女遊びを続けた。

 ただ、婚約破棄の原因となったあの女性と遊んでいたというわけではなく、また別の女性と遊んでいたらしい。

 というのも、婚約破棄の原因となった女性には、一件の後去っていかれたそうなのだ。

 悪いことをしたと思ったのか、それとも別に何か思いがあったのか。その辺りは定かではないけれど。ただ、あの女性が抱いていたガイエルへの気持ちは冷めてしまったようだった。

 しかし、そんな無節操な女遊びにも終わりが来る。

 貯金が尽きたのだ。

 それから彼がどうなったかのかは誰も知らない。ただ、きっと、無難な人生ではなかっただろう。


◆終わり◆
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

なんでもいいけど、実家の連中なんとかしてくれません?-虐げられたお姫様、宗主国の皇帝陛下に拾われたついでに復讐する-

下菊みこと
恋愛
このヒロイン、実は…かなり苦労した可愛い可哀想な幼子である。ざまぁもあるよ。 エルネスティーヌはお姫様。しかし恵まれない人生を送ってきた。そんなエルネスティーヌは宗主国の皇帝陛下に拾われた。エルネスティーヌの幸せな人生がここから始まる。復讐の味は、エルネスティーヌにとっては蜜のようであった。 小説家になろう様でも投稿しています。

それって冤罪ですよね? 名誉棄損で訴えさせていただきます!

恋愛
伯爵令嬢カトリーヌ・ベルテに呼び出された男爵令嬢アンヌ・コルネ。 手紙に書いてあった場所へ行くと、カトリーヌだけではなく、マリー・ダナ、イザベル・クレマンの3人に待ち受けられていた。 言われたことは……。 ※pixiv、小説家になろう、カクヨムにも同じものを投稿しております。

バカ二人のおかげで優秀な婿と結婚できるお話

下菊みこと
恋愛
バカ二人が自滅するだけ。ゴミを一気に処分できてスッキリするお話。 ルルシアは義妹と自分の婚約者が火遊びをして、子供が出来たと知る。ルルシアは二人の勘違いを正しつつも、二人のお望み通り婚約者のトレードはしてあげる。結果、本来より良い婿を手に入れることになる。 小説家になろう様でも投稿しています。

義母と義妹に虐げられていましたが、陰からじっくり復讐させていただきます〜おしとやか令嬢の裏の顔〜

有賀冬馬
ファンタジー
貴族の令嬢リディアは、父の再婚によりやってきた継母と義妹から、日々いじめと侮蔑を受けていた。 「あら、またそのみすぼらしいドレス? まるで使用人ね」 本当の母は早くに亡くなり、父も病死。残されたのは、冷たい屋敷と陰湿な支配。 けれど、リディアは泣き寝入りする女じゃなかった――。 おしとやかで無力な令嬢を演じながら、彼女はじわじわと仕返しを始める。 貴族社会の裏の裏。人の噂。人間関係。 「ふふ、気づいた時には遅いのよ」 優しげな仮面の下に、冷たい微笑みを宿すリディアの復讐劇が今、始まる。 ざまぁ×恋愛×ファンタジーの三拍子で贈る、スカッと復讐劇! 勧善懲悪が好きな方、読後感すっきりしたい方にオススメです!

殿下、貴方にだけは言われたくないのですが

富士山のぼり
恋愛
「ノエリア、君との婚約を破棄させてもらう。」 「えっ?」 「考えてみたまえ。君は特に一番に秀でた所が無いではないか。」 「どういう事でしょう。」 「わざわざ言わせるな。  君の学業成績はリネア嬢、美しさで言えばカリーネ嬢に劣るではないか。  ついでに身分で言えば君より家格が高い令嬢もいる。」 『殿下、そういうあなたは何なのですか?』ノエリアは心の中で呟いた。

婚約破棄、されたほうです。

みけねこ
恋愛
社交パーティーの会場のど真ん中で突然言い渡された婚約破棄。 目の前で婚約者は肩を抱き寄せられ、得意げに弟はこちらにそう突きつけた。 婚約破棄、されたのはどうやらこちらのようです。

【短編】将来の王太子妃が婚約破棄をされました。宣言した相手は聖女と王太子。あれ何やら二人の様子がおかしい……

しろねこ。
恋愛
「婚約破棄させてもらうわね!」 そう言われたのは銀髪青眼のすらりとした美女だ。 魔法が使えないものの、王太子妃教育も受けている彼女だが、その言葉をうけて見に見えて顔色が悪くなった。 「アリス様、冗談は止してください」 震える声でそう言うも、アリスの呼びかけで場が一変する。 「冗談ではありません、エリック様ぁ」 甘えた声を出し呼んだのは、この国の王太子だ。 彼もまた同様に婚約破棄を謳い、皆の前で発表する。 「王太子と聖女が結婚するのは当然だろ?」 この国の伝承で、建国の際に王太子の手助けをした聖女は平民の出でありながら王太子と結婚をし、後の王妃となっている。 聖女は治癒と癒やしの魔法を持ち、他にも魔物を退けられる力があるという。 魔法を使えないレナンとは大違いだ。 それ故に聖女と認められたアリスは、王太子であるエリックの妻になる! というのだが…… 「これは何の余興でしょう? エリック様に似ている方まで用意して」 そう言うレナンの顔色はかなり悪い。 この状況をまともに受け止めたくないようだ。 そんな彼女を支えるようにして控えていた護衛騎士は寄り添った。 彼女の気持ちまでも守るかのように。 ハピエン、ご都合主義、両思いが大好きです。 同名キャラで様々な話を書いています。 話により立場や家名が変わりますが、基本の性格は変わりません。 お気に入りのキャラ達の、色々なシチュエーションの話がみたくてこのような形式で書いています。 中編くらいで前後の模様を書けたら書きたいです(^^) カクヨムさんでも掲載中。

聖女を無能と罵って婚約破棄を宣言した王太子は追放されてしまいました

もるだ
恋愛
「お前とは婚約破棄だ! 国から出ていけ!」 王命により怪我人へのお祈りを続けていた聖女カリンを罵ったのは、王太子のヒューズだった。若くて可愛い聖女と結婚するつもりらしい。 だが、ヒューズの暴挙に怒った国王は、カリンではなく息子の王太子を追放することにした。

処理中です...