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後編

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 ◆


 あれから数年が経過、私はこの国で初となるトイレットペーパーを開発し商品化に成功――それによって人々の暮らしは大きく変わることとなった。

 今ではトイレも水で流すタイプのものが増え、その増加に伴いトイレットペーパーの需要も右肩上がりだ。

 それによって私は莫大な資産を築くことに成功した。

「まさかこんなことになるなんてねぇ」
「いつもばたばたしてごめんね、母さん」

 私は今も実家で暮らしている。
 結婚はしていない。
 でもお金はあるのできっと一生一人で歩んでもそれほど問題はないだろう。

 今はもう誰かに支えてもらう必要はない。

 と言っても、同居の両親には大変世話になっているのだが。

 あくまで、男性に頼る必要はない、という意味である。

「いいのよ! 娘の活躍は嬉しいものだわ。私たちのことなんて気にしないでちょうだいね」
「これからも稼ぐから!」
「無理のない範囲でね」
「ありがとう母さん、体調には気をつけるわ」
「そうよ。健康な身体あってこそだもの。健康に、無理のない範囲で、活躍してくれるのが親としては何より嬉しいことよ」

 ちなみにアラーフォードはというと、あの後一人の恋人の影響で過激な思想に傾倒していったそうで、過激な活動が目立つ組織に加入し危険行為を繰り返したそうだ。で、ある時王子暗殺計画に参加したことがばれてしまい、王家警備隊に拘束されたらしくて。それ以降彼は自由な行動を禁じられ、牢の中で一日を生きなくてはいけないようになってしまったらしい。

 今や彼に自由はない。
 最低限の暮らしすら手にできない。

 アラーフォードは生涯拘束されたまま暮らし強制労働もさせられる――それが彼の終着地点となった。

 だが、まぁ、国において高位の人間である王子を殺そうとしたのだからそうもなるだろう。


◆終わり◆
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