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前編
しおりを挟む幼い頃から近所に住んでいたそこそこ歴史ある家の娘であるエミリーは、親友のような顔をして私の傍にいつもいるのだけれど、たびたび私の恋人や親しい男性を奪ってきた。
それ以外は良い娘なのだけれど。
でも、エミリーは私から大切なものをどんどん奪っていくので、そういう意味では私は彼女のことが大嫌いだ。
「婚約、破棄する」
またしてもこの日がやって来てしまった。
「悪いな、急になって」
「ドラコスさん……それは一体、どういう……」
我が婚約者ドラコスがエミリーを連れて私の前に現れて。
「俺はお前との関係を終わりとすることにしたんだ」
「え……、それって……その、ちょっと、急すぎませんか……?」
「急すぎる? 何だっていいだろうが、いちいち細かいこと言うなよ馬鹿だろうお前」
いやいや、待て待て。
他人をいきなり馬鹿などと呼ぶなんてさすがに酷すぎやしないだろうか。
もう少し考えて言葉を選べないものか?
「エミリー、また手を出したの?」
「あら、失礼ね、あたしを泥棒猫みたいに言うなんて……酷すぎるわよ」
「だってこれまで何度もこういうことあったじゃないの!」
つい声を荒くしてしまって。
するとエミリーは急に泣き始める。
……もっともほぼ演技なのだが。
「お前! 最低だろ! 俺の女を泣かせるなんて、許せねぇ!」
「彼女はいつもこういうことをするのですよ」
「何だって?」
「私の周りにいる男性をもぎ取っていくのです! 寝取りマスターみたいなものですよ、エミリーは!」
するとドラコスは急に私を殴ってきた。
私はそのまま後ろ向きに転ぶ。
幸い、危険な部位を打つことにはならなかった。それゆえ意識を失ったり死んだりというようなことはなかった。そういう意味では幸運だった。神に護ってもらったのかな、なんて思うくらい、殴られ転倒したわりには軽傷であった。
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