黙って様子をみていたら王子の行動が悪化してきまして――なので意見を言ってみたのですが、彼は激怒して婚約破棄とか言ってきました。

四季

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前編

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 私マーベリアは王子オッフェルと婚約者同士になっていた。

 しかし、いつからだろうか、彼は私を段々愛さなくなっていって。しまいには、定期的に特定の女を自室へ連れ込むまでになっていった。そこまで進展したのは多分私が何も言わずに放っていたからだろうけど。で、やがて、オッフェルと彼が連れ込んでいる女性ミレニアムは過剰にいちゃつくようになっていって。もう耐えられない、と、オッフェルにそのことについて意見を述べたのだけれど。

「マーベリア! まさかお前がそのような心の狭い女だったとはな! 糞、本性を見た気分だ。もういいさ、俺にはお前なんか必要ない……ミレニアムさえいてくれればそれで……よって! マーベリア、お前との婚約は破棄とするッ!!」

 たった一度意見を述べただけでそこまで言われてしまった。

 意見することすら許さないなんて暴君か?

 彼にとって私は何? 人形? 道具? ――小さな主張すら認めないなんて、奴隷とでも思っているのか。

「城から出ていけ!!」

 こうして私とオッフェルの関係は終わりを迎える。

 私が城から出ていく日、ミレニアムがわざわざ通りすがり風に近づいてきて「今までお疲れ様でしたぁ」とか「残念でしたねぇ、ふられちゃってぇ。黙っていれば良かったのにぃ」とか言ってきたけれど、それはすべて無視した。

 もう何もかも面倒臭かったからだ。

 ……でも、一つ、良いこともある。

 それは、もうこれでオッフェルらの行動に振り回されなくていい、ということだ。

 これまではたびたびもやもやさせられてきたけれど今後はそういった悩みはもうなくなる――そういう意味では、爽快感だってあるのだ。


 ◆


 あれから一年半が過ぎた。

 隣国の国王候補である青年から婚約希望を申請された私は、もうじき、隣国へと移り住む。

 ここまでの一年半はとにかく忙しくて苦労も多かった。悩みだってあったし苦労がないわけでもなかった。でも、それでも一歩ずつ歩いてきて、今こうして幸せを掴めそうになっているのだ。
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