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前編
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生まれながらにして私には義務があった。それは、この国と共に生きこの国と共に死ぬこと。それが国王の子として生まれた私の人生であり定め。
王女としてこの世に生を受けたなら、その定めから逃れることはできない。
そして、また、細やかな平穏への望みのためにこの国を差し出すことも認められない。
私は戦いを望みはしない。それが生み出すものの虚しさを知っているから。避けられる戦いであるならばなるべく避けたい。が、それでも、避けることのできない戦いというものもこの世には確かに存在している。
戦いを拒むことが、国の民を隷属へ導くことであってはならない。
この国の人々が人々として生きるためには、時に、戦いを受け入れなくてはならない場合もある。その戦いを拒むことは、この国の終焉を意味するのだから。ならば、多少の犠牲が出るとしても、すべてを失う前に交戦せねばならない。
それでも、もし戦いのない道があるとしたら……。
それを模索することもまた、王女として生まれた私に与えられた課題なのかもしれない。
◆
「……リアさん、サーフェリアさん!」
はっとして振り返ると、赤に白をほんの少し混ぜたような色をした髪の少女——オッサケが呼びかけてきていた。
頭の左右、やや高めの位置で結んだ髪は、彼女の可憐さを強調しているかのよう。
また、こちらを見つめる瞳は髪色とは違う深海のような青。くりくりとした大きめの瞳だが、少しでも視線を合わせると吸い込まれてしまいそうになる。それこそ、人を渦に巻き込んで深海まで引きずり込んでしまいそうな、そんな雰囲気を醸し出している。
「あ、あぁ、ごめんなさい。何だったかしら」
「大丈夫? ぼんやりしてない?」
「えぇ……少し考え事をしていたの。でももう大丈夫よ、気にしないで」
齢十二、まだ女性的な身体つきにすらなっていない彼女は、一年ほど前に私が運営している『スノーアメジストの気ままな家』へやって来た。双子の片割れであるタバという少女が『スノーアメジストの気ままな家』にいたことが、彼女がここへ来ることとなったきっかけだ。
ちなみに、『スノーアメジストの気ままな家』というのは、戦争によって親を失った子を引き取って育てている施設。
王女としてこの世に生を受けたなら、その定めから逃れることはできない。
そして、また、細やかな平穏への望みのためにこの国を差し出すことも認められない。
私は戦いを望みはしない。それが生み出すものの虚しさを知っているから。避けられる戦いであるならばなるべく避けたい。が、それでも、避けることのできない戦いというものもこの世には確かに存在している。
戦いを拒むことが、国の民を隷属へ導くことであってはならない。
この国の人々が人々として生きるためには、時に、戦いを受け入れなくてはならない場合もある。その戦いを拒むことは、この国の終焉を意味するのだから。ならば、多少の犠牲が出るとしても、すべてを失う前に交戦せねばならない。
それでも、もし戦いのない道があるとしたら……。
それを模索することもまた、王女として生まれた私に与えられた課題なのかもしれない。
◆
「……リアさん、サーフェリアさん!」
はっとして振り返ると、赤に白をほんの少し混ぜたような色をした髪の少女——オッサケが呼びかけてきていた。
頭の左右、やや高めの位置で結んだ髪は、彼女の可憐さを強調しているかのよう。
また、こちらを見つめる瞳は髪色とは違う深海のような青。くりくりとした大きめの瞳だが、少しでも視線を合わせると吸い込まれてしまいそうになる。それこそ、人を渦に巻き込んで深海まで引きずり込んでしまいそうな、そんな雰囲気を醸し出している。
「あ、あぁ、ごめんなさい。何だったかしら」
「大丈夫? ぼんやりしてない?」
「えぇ……少し考え事をしていたの。でももう大丈夫よ、気にしないで」
齢十二、まだ女性的な身体つきにすらなっていない彼女は、一年ほど前に私が運営している『スノーアメジストの気ままな家』へやって来た。双子の片割れであるタバという少女が『スノーアメジストの気ままな家』にいたことが、彼女がここへ来ることとなったきっかけだ。
ちなみに、『スノーアメジストの気ままな家』というのは、戦争によって親を失った子を引き取って育てている施設。
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