この国の未来を

四季

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後編

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「聞いて、サーフェリアさん! 今日の朝ごはんの時、ベリグリがみんなのエビフライを食べちゃったの! もー最低っ!」
「彼、エビフライ好きよね」

 ベリグリはやや肥満傾向のある少年。彼もまたこの施設で暮らしている。とにかくエビフライや揚げ物が好きで、それゆえに身体に肉がついてしまっている。一応たまにはダイエットしようと考えるようだが、毎度すぐに挫ける。そのため、彼のダイエットは大抵失敗に終わっている。

 いつになったら本気で痩せようとするのやら。

「他人の分まで食べるとかあり得ないっ」
「それはそうね。これからはきちんと管理しましょう」
「雪掻きの刑!」
「そうなの? 現在進行形?」
「やらせてる!」
「ふふ。厳しいのね」

 国のため、国の民のため、避けることのできない戦いもある。けれども、その戦いがこうして親と一緒にいられない子を生み出してしまうのだから、皮肉なものだ。民のための戦いで犠牲になるのはいつも民。

 戦えば命が失われ、戦わなければ国そのものという存在が失われる。
 どのみち何かが失われてしまう。

 平穏とは、誰かの犠牲の上に成り立つもの。

 平和とは、数多の屍の先に在るもの。

 仕方のない戦いは確かにあって、けれどもそれによって被害を受けた子どもを放っておくこともできず、私は『スノーアメジストの気ままな家』を設立した。それは多分、私自身のためであったのだと思う。一種の償いのつもりだったのかもしれない。私の中にある罪悪感を小さくするために思いついたのが、こんな方法しかなかった。

「次の揚げ物の時はぜーったいにベリグリには自由行動させないから!」
「たくさん食べられてしまうものね」

 何もかも自己満足かもしれないけれど、時には自己満足だと批判されるかもしれないけれど、それでも構わない。私の行動によって少しでも救われる命があるなら、と、その想いを胸において、私はできることをする。

 たとえ自己満足だとしても。誰からも求められていない勝手な行動なのだとしても。

 それでも、今ここにある穏やかな日々を大切にしたい。

 女王となった今、私には、一人でも多くの国民を守らなくてはならないという責任がある。特に、未来ある幼い子どもたちを守ること。それは絶対に達成しなくてはならないことだろう。一人も犠牲にしない、と、夢物語のようなことを話すつもりはないけれど。それでも、できることなら、犠牲は少しでも減らしたい。

 そしていつか、彼ら彼女らに託そう。

 この国の未来を。


◆終わり◆
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