突然の婚約破棄、降り注ぐ雨と始まり。

四季

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突然の婚約破棄、降り注ぐ雨と始まり。

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 婚約者に呼ばれて彼のもとへ行くと、彼は見知らぬ女性と一緒にいた。

「彼女と結婚することにしたから、お前との婚約は破棄な」

 一方的にそう言い放たれた。

 私には選択権などなく。
 ただそれを受け入れるほかなかった。


 ◆


 帰り道、雨の中を走りながら一人涙を流す。

 どうしてこんなことに。
 その言葉が脳にこびりついてしまった。

「あっ」

 やがて、足を滑らせて転んでしまう。

 降り注ぐ雨は憐れな私にも躊躇しない。どこまでも激しく降り注ぎ、この身を濡らしてゆく。ただ、それはある意味救いのようにも感じられて、私は少しだけ救われたような気にもなった。憐れまれるというのも案外辛いものなのだ。

 その時。

「あの、大丈夫です?」

 背後から声が飛んでくる。

 振り返ると。
 そこには一人の男性。

「泥ついてますよ」

 そう言って手を差し伸べてくれる彼を目にしたその時、私は、まだ見ぬ未来を垣間見た気がした。

 辛さしかなかった心に一筋の光が射し込む。
 そんな感覚があった。

「立てますか?」
「……は、はい」


◆終わり◆
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