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前編
しおりを挟む婚約者レべストの母親はいつも私を悪く言った。
まるでストレス発散でもするかのように。
私にばかり当たり散らしてきていた、「あんたって、ほんと馬鹿! とろすぎ!」とか「あたしの息子に相応しくない女なんだから、奴隷と思って生きなさい!」とか。
そんな日々に耐えられなくて。
「お義母さん、私、もうここでやっていけません。婚約は解消させてください」
そう言ってみたところ。
「はぁ? 婚約解消? 馬鹿でしょあんた、あーあ、はぁ、もう、あり得ないわ! ほんとあり得ない! ちょっと都合が悪くなったら婚約を解消したいとか子ども? 馬鹿にもほどがあるわよ! それに、あんたの家の遺産は全部あたしのものなんだから、今さら別れてあげる気はないわよ」
などと言われ。
「婚約破棄したいです」
「ふ、ふ……ふざけんなあああああああ! きぃぃぃぃぃぃ! きええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
突如叫ばれ、近くにあった包丁で胸を刺されてしまった。
――こうして私は死んだ。
◆
『このまま消えてしまっては無念過ぎるでしょう、だから、貴女に復讐の機会を与えましょう』
そうだ、私は死んだのだ。
きっともうあの世界に私はいない。
でも声がする……。
『あの女に、そして、見て見ぬふりを続けてきた男にも……復讐なさい。そうすれば貴女は救われ穏やかな死を迎えられるでしょう』
そうして私は舞い戻ることとなる。
かつて理不尽にこき使われるしかなかったあの場所へ。
もはや憎しみしかないレべストらのもとへ。
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