異世界恋愛短編集 ~婚約破棄されても幸せになることはできます~

四季

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婚約者に虐められていましたが、解放の時は思わぬ形でやって来ました!

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 婚約者ラダスに虐められている。

 彼はいつも私を貶めるような言葉をかけてくる。無能だ、とか、不細工、とか、そんなことも平気で言ってくるのだ。

 というのも、彼は常に私が傷つくことを楽しんでいるのである。

 そんなある日。
 朝から何時間も酷い言葉をかけられた私は、彼と共に暮らす家を飛び出した。

 そして誰もいない山に入り、座り込んで泣く。

 もう嫌だ。
 もうやめにしたい。

 ……もう、消えてしまいたい。

「やぁ!」

 すると目の前にしゃぼん玉を連ねたような形をした妖精が現れて。

「ぼくがきみの傷を癒してあげるよ!」

 そんなことを言ってくる。

「ほん、とう……に?」
「うん!」
「……お、おね、がい……します」
「きみを傷つけているのは、きみの婚約者であるラダスだよね?」
「どうして知って!?」
「そこは聞かないお約束、だよっ。オーケイかな?」
「……はい、分かりました。ではお願いします。……私を助けてください」

 その日の晩、ラダスの父親が謎の事故で亡くなった。そしてその葬儀に参加しようとラダスは一人で実家へ帰ったのだが、その葬儀会場にて爆発事故が起こり、巻き込まれたラダスはこの世を去った。

 そうして私と彼の婚約は破棄となったのだった。

「や、やったぁぁぁぁぁぁ!!」

 嬉しくて、涙が溢れ出す。

「キタァァァァ!! キタよぉぉぉぉぉ!! キタキタキタキタキタキタキタァァァァァ!! さ、さ、さ……最高すぎるぅぅぅぅ!!」

 こうして私は厄介な婚約者から解放されたのだった。

 また、その数週間後、とある国の王子から結婚してほしいと言われることとなる。

 私は彼との道を選ぶことにしたのだが、その先で、しゃぼん玉を連ねたような妖精と再会する。

「また会えたね!」
「ええっ」
「ぼくはこの国の護り神ならぬ護り妖精なんだ。えへへ。きみを救えて本当に良かったよ!」

 な、なんなんだ、この展開は……?


◆終わり◆
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