106 / 276
隣国の王子でもある婚約者が浮気していました。しかもそのうえ婚約破棄を告げてくるなんて意味不明過ぎます。
しおりを挟む
婚約者で隣国の王子であった彼は私を裏切り浮気していた。
しかもそのことが明るみ出た後も反省せず。
どころか自分に非はないと言い張り。
もうとにかく生意気な言葉ばかりを並べて失礼な態度ばかり取って。
――そして、その果てに、婚約破棄宣言。
彼は「君のような淑女でない女は愛せない」なんて言い、まるで私が悪女であるかのような目でこちらを見ながら、関係を一方的に終わらせてきたのだった。
……こんな仕打ち、さすがに許せはしない。
母国へ帰ることとなった私は不満に王である父に漏らす。すると父は味方をしてくれ、激怒してくれた。それだけでも十分救われはしたのだけれど――その時既に父の怒りは止まらない状態となっていて、父はついに隣国へ攻め込むことを決めた。
そうして始まった戦争により、隣国はあっという間に滅んだ。
あの国は弱かった。
我が国と戦えるような戦力はまったくもって持っていなかったのだ。
だが、まぁ、私と彼の婚約がそもそも戦争を避けるための一手であったわけなので……それを考えれば、その婚約を勝手に壊した時点でこうなることはあちらの国にとってはある意味定めだったのだろう。
ちなみに元婚約者である王子はというと、敗戦後間もなく処刑され、呆気なくこの世を去ることとなった。
彼は歴史から消えた。
戦争でしか復讐できない時代というのは悲しいけれど……人類史の中では、きっと、当たり前のようにそういうことが多くあったのだろう。
◆終わり◆
しかもそのことが明るみ出た後も反省せず。
どころか自分に非はないと言い張り。
もうとにかく生意気な言葉ばかりを並べて失礼な態度ばかり取って。
――そして、その果てに、婚約破棄宣言。
彼は「君のような淑女でない女は愛せない」なんて言い、まるで私が悪女であるかのような目でこちらを見ながら、関係を一方的に終わらせてきたのだった。
……こんな仕打ち、さすがに許せはしない。
母国へ帰ることとなった私は不満に王である父に漏らす。すると父は味方をしてくれ、激怒してくれた。それだけでも十分救われはしたのだけれど――その時既に父の怒りは止まらない状態となっていて、父はついに隣国へ攻め込むことを決めた。
そうして始まった戦争により、隣国はあっという間に滅んだ。
あの国は弱かった。
我が国と戦えるような戦力はまったくもって持っていなかったのだ。
だが、まぁ、私と彼の婚約がそもそも戦争を避けるための一手であったわけなので……それを考えれば、その婚約を勝手に壊した時点でこうなることはあちらの国にとってはある意味定めだったのだろう。
ちなみに元婚約者である王子はというと、敗戦後間もなく処刑され、呆気なくこの世を去ることとなった。
彼は歴史から消えた。
戦争でしか復讐できない時代というのは悲しいけれど……人類史の中では、きっと、当たり前のようにそういうことが多くあったのだろう。
◆終わり◆
1
あなたにおすすめの小説
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
婚約破棄されるはずでしたが、王太子の目の前で皇帝に攫われました』
鷹 綾
恋愛
舞踏会で王太子から婚約破棄を告げられそうになった瞬間――
目の前に現れたのは、馬に乗った仮面の皇帝だった。
そのまま攫われた公爵令嬢ビアンキーナは、誘拐されたはずなのに超VIP待遇。
一方、助けようともしなかった王太子は「無能」と嘲笑され、静かに失墜していく。
選ばれる側から、選ぶ側へ。
これは、誰も断罪せず、すべてを終わらせた令嬢の物語。
--
【完結】婚約破棄されたユニコーンの乙女は、神殿に向かいます。
秋月一花
恋愛
「イザベラ。君との婚約破棄を、ここに宣言する!」
「かしこまりました。わたくしは神殿へ向かいます」
「……え?」
あっさりと婚約破棄を認めたわたくしに、ディラン殿下は目を瞬かせた。
「ほ、本当に良いのか? 王妃になりたくないのか?」
「……何か誤解なさっているようですが……。ディラン殿下が王太子なのは、わたくしがユニコーンの乙女だからですわ」
そう言い残して、その場から去った。呆然とした表情を浮かべていたディラン殿下を見て、本当に気付いてなかったのかと呆れたけれど――……。おめでとうございます、ディラン殿下。あなたは明日から王太子ではありません。
妹に婚約者を奪われた上に断罪されていたのですが、それが公爵様からの溺愛と逆転劇の始まりでした
水上
恋愛
濡れ衣を着せられ婚約破棄を宣言された裁縫好きの地味令嬢ソフィア。
絶望する彼女を救ったのは、偏屈で有名な公爵のアレックスだった。
「君の嘘は、安物のレースのように穴だらけだね」
彼は圧倒的な知識と論理で、ソフィアを陥れた悪役たちの嘘を次々と暴いていく。
これが、彼からの溺愛と逆転劇の始まりだった……。
本当に現実を生きていないのは?
朝樹 四季
恋愛
ある日、ヒロインと悪役令嬢が言い争っている場面を見た。ヒロインによる攻略はもう随分と進んでいるらしい。
だけど、その言い争いを見ている攻略対象者である王子の顔を見て、俺はヒロインの攻略をぶち壊す暗躍をすることを決意した。
だって、ここは現実だ。
※番外編はリクエスト頂いたものです。もしかしたらまたひょっこり増えるかもしれません。
(完結)お姉様、私を捨てるの?
青空一夏
恋愛
大好きなお姉様の為に貴族学園に行かず奉公に出た私。なのに、お姉様は・・・・・・
中世ヨーロッパ風の異世界ですがここは貴族学園の上に上級学園があり、そこに行かなければ女官や文官になれない世界です。現代で言うところの大学のようなもので、文官や女官は○○省で働くキャリア官僚のようなものと考えてください。日本的な価値観も混ざった異世界の姉妹のお話。番の話も混じったショートショート。※獣人の貴族もいますがどちらかというと人間より下に見られている世界観です。
十年間虐げられたお針子令嬢、冷徹侯爵に狂おしいほど愛される。
er
恋愛
十年前に両親を亡くしたセレスティーナは、後見人の叔父に財産を奪われ、物置部屋で使用人同然の扱いを受けていた。義妹ミレイユのために毎日ドレスを縫わされる日々——でも彼女には『星霜の記憶』という、物の過去と未来を視る特別な力があった。隠されていた舞踏会の招待状を見つけて決死の潜入を果たすと、冷徹で美しいヴィルフォール侯爵と運命の再会! 義妹のドレスが破れて大恥、叔父も悪事を暴かれて追放されるはめに。失われた伝説の刺繍技術を復活させたセレスティーナは宮廷筆頭職人に抜擢され、「ずっと君を探していた」と侯爵に溺愛される——
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる