異世界恋愛短編集 ~婚約破棄されても幸せになることはできます~

四季

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隣国の王子でもある婚約者が浮気していました。しかもそのうえ婚約破棄を告げてくるなんて意味不明過ぎます。

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 婚約者で隣国の王子であった彼は私を裏切り浮気していた。

 しかもそのことが明るみ出た後も反省せず。
 どころか自分に非はないと言い張り。
 もうとにかく生意気な言葉ばかりを並べて失礼な態度ばかり取って。

 ――そして、その果てに、婚約破棄宣言。

 彼は「君のような淑女でない女は愛せない」なんて言い、まるで私が悪女であるかのような目でこちらを見ながら、関係を一方的に終わらせてきたのだった。

 ……こんな仕打ち、さすがに許せはしない。

 母国へ帰ることとなった私は不満に王である父に漏らす。すると父は味方をしてくれ、激怒してくれた。それだけでも十分救われはしたのだけれど――その時既に父の怒りは止まらない状態となっていて、父はついに隣国へ攻め込むことを決めた。

 そうして始まった戦争により、隣国はあっという間に滅んだ。

 あの国は弱かった。
 我が国と戦えるような戦力はまったくもって持っていなかったのだ。

 だが、まぁ、私と彼の婚約がそもそも戦争を避けるための一手であったわけなので……それを考えれば、その婚約を勝手に壊した時点でこうなることはあちらの国にとってはある意味定めだったのだろう。

 ちなみに元婚約者である王子はというと、敗戦後間もなく処刑され、呆気なくこの世を去ることとなった。

 彼は歴史から消えた。

 戦争でしか復讐できない時代というのは悲しいけれど……人類史の中では、きっと、当たり前のようにそういうことが多くあったのだろう。


◆終わり◆
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