絶世の美女、それを理由に婚約破棄される!? ~それでもその道の先には光があったのです~

四季

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後編

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「身勝手にもほどがあるわよね、あんな理由で婚約破棄とか。酷いのはどっちよ、って感じよ。やり方なんて他にいくらでもあるでしょうに」
「あのムッヅとかいう男滅茶苦茶過ぎるわ」
「ああなんだかこっちまでもやもやしてきちゃう。フィメリアさんが気の毒過ぎて。代わりに言い返してやりたい気分よ」

 ただ、皆が敵でないことは、フィメリアにとって救いだった。

 これでフィメリア悪の風潮があったならより一層辛かっただろう。

「フィメリアさん、気にすることないわよ! あんなの。僻みみたいなものじゃない、気にしなくていいわ。貴女は何も悪くないから!」

 隣の席の五十代くらいの女性がフィメリアにそう話しかけてくれて、フィメリアは少々救われた気がした。


 ◆


 あの婚約破棄宣言以降、ムッヅの評判は地に堕ちた。

 美し過ぎるから、なんていう身勝手極まりない理由で婚約を破棄した男。そんな珍しい人として皆から認識される人になったムッヅは、よく分からない、として多くの人から批判を受けた。主に女性からは「身勝手過ぎる」だとか「あまりにも自己中心的な思考」として酷く嫌われて。彼の周囲に近寄る女性は皆無となっていった。

 そんな中で心を病んでいったムッヅ。
 彼は徐々に女性への不信感を訴えるようになり、それはやがて女性たちへの憎しみへと変わっていく。

 そしてある時、女性が集まっている広場に爆弾を持って突っ込み数名を殺した。

 それによりムッヅは拘束され、そのまま牢屋送りに。一週間鞭打ちを強制されることとなる。そしてその果てに処刑が決定となった。約束の日、彼は、たくさんの人が集まっている場所にて皆の目の前であの世へと送られた。

 ちなみにフィメリアはというと、あの後色々あって司法の長である男性の子息と結婚、今はまったりしたかえる顔の彼と穏やかに楽しく暮らしている。

 フィメリアは周囲に「彼と出会えて良かった」と話している。


◆終わり◆
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