生まれつきたくさん食べてしまう性質を持っていた私はそれが理由で婚約者に嫌われてしまいました。

四季

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前編

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 私は生まれつきたくさん食べてしまうタイプだった。

 そのせいで婚約者オープルーに嫌われてしまった。

「あいつさ! ひでーんだよ! めっちゃ食うし女らしくねぇしで、もうサイッテーだわ!」

 この前女友達を含めた友人たちにそんな風に話しているところを見てしまった。

 偶然通りかかっただけだったのだが、不運にも目撃してしまったのだ。

 それだけでもショックを感じていたのだが。
 さらにその様子を見ていたことがばれてしまって、オープルーには覗き見していたのだと勘違いされてぼろくそに言われた。

 そして、その勢いで婚約破棄。

 彼は私を屑呼ばわりした。
 そのまま終わりを告げて。

 彼は何の躊躇いもなく二人の関係を叩き壊したのだった。

 悪口を言いふらしておいてそれがばれたら急に相手を責める。まるで相手が悪であるかのように言う。高圧的な言い方で痛めつけようとする。

 ……彼に優しさはないのか。

 ……彼には人の心というものはないのか。

 ただ、いずれにせよ、終わった関係をこれ以上追い求めることはできない。

 追ったところで逃げられるだけ。
 求め続けてもきっともう何も手に入れられない。

 こちらが下から出た日には、舐められ馬鹿にされておしまいだろう。

 そんな愚かなことはしたくない――だから私は彼との道を捨て未来へ希望を託すことにした。

 そう、人生はこれから先も続いていく。

 私は終わったわけではない。
 ただ一つ、彼との縁が終わっただけ。

 だから良き未来を見据えて歩もうと思う。
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