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2話

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「随分仲良さげじゃないですか。婚約者のいる身で大胆ですね? 今からお泊りですか」
「ご、誤解だ!」

 何が誤解なんだか。
 先ほどの会話を聞いていれば誰だってすべてを理解するだろう。

 今さらごまかそうとしてももう遅い。

「それに、先週もお泊りされたのですか?」
「何を言い出すんだアイル」
「さっき仰っていましたよね、聞きましたよ」
「違う、違うんだ、それは聞き間違いで」
「よい御身分ですね。婚約者がいながら他の女と毎週お泊りだなんて。実に楽しい日々でしょうね」

 私はドロバーズのことを勘違いしていたのかもしれない。

 まともな人と思っていた。
 でも違った。

 彼は現状をわきまえることすらできない愚かな人だった。

「でも、私はもう必要ないですね?」
「え、えっ、いや、ちが、違うんだそうでなくっ……」
「そちらの女性と仲良くなさってくださいね」
「待ってくれ! 聞いてくれ!」
「何です?」
「こ、これは、その……すまない、が、遊びなんだ! 単なる遊び! 魔が差したというだけなんだ!」

 女性はドロバーズを信じられないというような目で見つめている。

 それはそうだろう。
 急に遊びなんて言い出すなんて女性に対して失礼過ぎる。

 そんなことを言ったら嫌われますよ? という感じだ。

「ドロバーズ……何を言っているのぉ、どういう……」
「今は黙っていてくれ」
「ちょっと待ってちょうだい、そんな、あまりにもぉ……もしかしてあたしのこと本当に……遊びとしてしか見ていなかったのぉ……?」
「うるさい、いいから黙ってくれ」
「そ、そんなぁ……酷い、酷すぎるぅ……」

 彼は女性側につく気はないようだけれど。

「ドロバーズさん、婚約は破棄します」

 だからといってすべてを許すことはできない。

「ま、待ってくれ! ごめん! 謝る、謝るから!」
「もうお話することはありません」
「どうしてなんだアイル!」
「不愉快だからです、もうお話したくありません」
「頼む話を聞いて――」
「毎週他の女性と外泊するような方との会話など無駄です」

 こうして私は彼の前から去った。
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