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前編
しおりを挟むエルフの女性リリアには婚約者がいた。
その人の名はプトレス。
彼はリリアより三つ年上で、また、種族も異なりエルフではなく人間である。
リリアとプトレスの婚約、それは、二つの種族の関係を保つためのものであった。
とはいえ愛し合っていなかったわけではなく、リリアは彼のことを想っていたし、プトレスもまたリリアのことを可愛らしい人と言い気に入っていた。
だがそれも永遠ではなく。
プトレスは次第に人間の女性を求めるようになり、婚約者がいる身でありながら他の女性と関わりを深めるようになっていった――そんな彼の一番親しい女性となったのが金髪碧眼の女性ウルレリネであった。
ウルレリネはプトレスの昔からの友人であったが、元から想いを寄せていたこともあり、友人のように振る舞いつつもプトレスに近づき次第に関係を深いものへと変貌させていったのである。
ちなみに、ウルレリネにも実は婚約者がいたのだが、彼女はその人のことは嫌いだった。
なので彼女は婚約者のことはいないもののように扱い、日頃からプトレスにひっつきまわり、まるで自分がプトレスの一番の女性であるかのように振る舞っていた。
特に、リリアがいない人間の国では顕著で、「プトレスに一番親しいのは私」というような振る舞い方を当たり前のようにしていたのだ。
周囲は皆そのことを知っていた。
皆そういうものと理解していた。
中にはリリアの存在を知らなかった者もいただろう。
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