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前編
しおりを挟むその日、私は願った。
これまで生きてきた世界の終わりを。
◆
思えば辛いことや悲しいことの多い人生だった。
生まれた時から優秀な姉と比べられて親からは出来損ない扱いをされていた。そして、ことあるごとに、姉が何か成功するたびに、嫌みを言われた。日頃は嫌み以外の面では私のことなんて放置なのに、親の機嫌が悪い時はいつだって私が当たり散らされて。時には手も出されて。そんな時、姉はいつだって見て見ぬふりをしていた。気づかないふりで素通りするだけ、当然助けてなんてくれない。
そんな環境で育った私にも年頃になるとルイーズという婚約者ができた。
しかし彼は初対面で言ったのだ。
こんな女かよ、外れだ――そんな言葉を。
「お前じゃなくて姉なら良かったんだがな」
それが彼の口癖だった。
それでも何とか関係は続いていて。
しかしついに告げられてしまう。
婚約の解消、婚約破棄、その言葉を。
「お前とはやっぱ無理だわ。外れ過ぎる」
婚約者ルイーズに捨てられた私は、実家へ戻ると親に激怒され、その日のうちに死を選んだ。
そうして訪れた白色の不思議な世界にて、私は願ったのだ――世界の終わりを。
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