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3話
しおりを挟む「え、えと……あの……」
「お代はこのピアスで結構です」
「では……罰を、与えたいです」
「そうですか。分かりました。では、そのようにしましょう」
――数日後、ドルトフスは落命した。
彼はその夜何も言わぬまま湖の畔へ行ったらしい。しかしその外出から戻らなくなったそうで。彼の身を心配した両親が探しにいったところ、湖の畔の大きな木の根元に倒れているのが発見されたそうだ。両親は寝てしまったのだろうと一瞬安堵。しかし、その時には既に死亡しており、反応は一切なかったそうだ。
そんな風に、ドルトフスは謎の死を遂げた。
その翌日、ドルトフスの女は愛するドルトフスの死を知ったことで正気を失って暴れ、家族が押さえ込もうとした拍子に首を絞めてしまい――彼女はそのままこの世から去ることとなってしまったらしい。
こうして、ドルトフスと彼の女は、近い日に死亡することとなった。
――その日の晩。
「すべて終わりましたよ」
枕もとにあの女性が現れた。
美しく輝く金髪を持ったあの人。
「……ありがとうございました」
「いえ。ではあのピアスはいただきますね」
「はい……回収していただけると助かります」
「さようなら」
「あ、はい、さようなら」
夢のような、不思議な復讐。
すべては終わった。
◆
「ママー! 庭の水やり終わったー!」
あれから十年。
今はもうドルトフスの幻影に悩まされることはない。
「……もう? 早かったわね」
愛せる人と出会い、結婚。そしてわりと速やかに二人の子にも恵まれて。今は家族四人で穏やかに生活できている。
嫌なことを思い出す暇なんてないくらい毎日忙しい、そして、とても楽しくもある。
「うん! 二人でやったんだ!」
「そうそう一緒に! やっぱり何人かでやったら早いね!」
◆終わり◆
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